海外テニス

ジョコビッチ批判の理由は「彼の不死身の強さがフェデラーやナダルのファンに受け入れられないから」と同胞トロイツキが擁護<SMASH>

中村光佑

2021.05.01

 男子テニス元世界ランキング12位のビクトル・トロイツキ(セルビア)が、同胞のノバク・ジョコビッチに向けられている偏見について語った。

 長年にわたりジョコビッチ、ロジャー・フェデラー(スイス)、ラファエル・ナダル(スペイン)の「ビッグ3」が世界のトップに君臨してきた男子テニス界。だが、その中でジョコビッチはグランドスラム18度の優勝や2度のゴールデン・マスターズ(9大会あるマスターズ1000を全て制覇すること)など数多くの輝かしい功績を残してきたにも関わらず、コート上での態度や日々の言動などでフェデラーとナダルの2人と比較され、多くのテニスファンや海外メディアから批判を浴び続けてきた。

 また、その流れに拍車をかけているのがジョコビッチの父親であるスルジャン・ジョコビッチ氏の発言だ。息子に対する強い想いの裏返しなのか、ここ最近のスルジャン氏は複数のメディアでフェデラーやナダルを非難するような発言を繰り返しており、状況を悪化させていると言っても過言ではない。

 トロイツキは、ジョコビッチがファンやメディアから歓迎されていない理由について「彼の不死身のような強さがフェデラーやナダルのファンには受け入れられないからだろう。実際、ナダルとフェデラーはノバクが登場する前はトップにいたのに、突然、セルビア出身の男がやってきて、全ての大会で優勝してしまったんだ。それは他人を喜ばせるものではない」と持論を展開した。
 
 一方でジョコビッチが不当に悪いイメージを植え付けられているとも考えているようで、「何よりもノバクは善意に満ち溢れた人で、みんなを助けたいという意志を何度も示してきた。それでも彼を非難するのは、彼のことをよく知らないからか、あるいは何もないところでセンセーションを起こしたいからだ。その行動の裏にある意図を理解しておらず、自分たちの利益のために彼を搾取しようとしている」と主張する。

 最後にトロイツキは「彼はグランドスラムを制覇することを優先している。パリ(全仏オープン)では少し難しいかもしれないけど、ウィンブルドンでも全米オープンでも優勝候補の選手だし、今年は確実にグランドスラムでもう1回は優勝するだろうね」とジョコビッチへ期待の言葉を送っている。

 なお、ジョコビッチは5月2日から開幕する『マドリード・オープン』(スペイン・マドリード/クレー/ATP1000)の欠場を発表。次戦は『イタリア国際』(5月9日~16日/イタリア・ローマ/クレー/ATP1000/)に参戦する予定だ。

文●中村光佑

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