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「人生全てをかけた素晴らしい道のりだった」元13位のドルゴポロフが32歳で引退。フェデラーからメッセージも<SMASH>

中村光佑

2021.05.02

多彩なプレーが魅力だったドルゴポロフ。長髪ポニーテールもトレードマークだった。(C)Getty Images

 男子テニス元世界ランク13位のアレクサンドル・ドルゴポロフ(ウクライナ)が現役引退を表明した。

 独特なクイックサービスやミスを恐れないアグレッシブなプレーで多くのファンを魅了し、ツアーでも3度の優勝経験を持つドルゴポロフ。スライスやドロップショットといった多彩なショットを度々披露していたことから、テニス界では「コート上の魔術師」と称され、2011年の全豪オープンではベスト8に進出、2014年のBNPパリバ・オープン3回戦では当時世界1位のラファエル・ナダル(スペイン)を破るなど、そのポテンシャルの高さを遺憾なく発揮していた。

 オフコートではジュニア時代から錦織圭と親交が深かったことでも知られ、2人でダブルスを組んだ2015年のブリスベン国際では準優勝を収めた。また、2017年のアルゼンチン・オープンでは最後のツアー優勝を果たしているが、その時の決勝の相手が奇しくも錦織であったことは日本のテニスファンも記憶しているかもしれない。

 世界ランキングでも13位に上り詰め、ウクライナ人男子選手の中で最も輝かしい功績を残してきたドルゴポロフ。だが、2018年の全豪オープンで練習中に手首を負傷し、同年5月のイタリア国際を最後に大会には出場していなかった。数年間で2度の手術を経たものの、手首の痛みが治まることはなかったため、現役引退の決断に至ったようだ。

「人生全てをかけた素晴らしい道のりだった。記録を破ることはできなかったけど、ファンが僕のプレーで楽しんでくれていたならそれでいいと思う」。ドルゴポロフは悔いなくキャリアを終えられたことを明かしている。
 
 そんな彼の元に思わぬ人物から届いた祝福メッセージが、多くのテニスファンの間で話題となっている。その人物とは39歳にして今なお世界のトップに君臨し続けるテニス界のレジェンド、ロジャー・フェデラー(スイス)だ。

 ドルゴポロフは自身のインスタグラム(@alexdolgopolov)で実際にフェデラーから受け取ったメッセージを掲載。フェデラーは「君の偉大なキャリアにおめでとうと言いたい」とこれまでのドルゴポロフの活躍を称えた上で、「僕たちのチームはいつも君のプレーを見るのが大好きだったけど、もうそのことは知っているよね。これからも健康には気をつけて、またいつか会えることを願っているよ」と綴っている。

 これに対しドルゴポロフは「本当に心の底からありがとう。ロジャーと彼のチームの幸運を願っている」とフェデラーに感謝の言葉を送った。

 引退後のセカンドライフについて「今のところ、何らかのビジネスをやっていきたいと思っている」と明かしているが、またいつの日かファンの前でコートに立つ姿を見せてもらいたいものだ。

文●中村光佑

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