海外テニス

「アスリートたちは決定を求めている」フェデラーが東京オリンピックの開催可否ついてコメント〈SMASH〉

中村光佑

2021.05.15

五輪開催について言及したフェデラー。(C)Getty images

 男子テニス世界ランク8位のロジャー・フェデラー(スイス)が母国のテレビチャンネル「Lémanbleu」のインタビューに応じ、反対の声が多数上がっている東京オリンピックの開催について言及した。

 新型コロナウイルス感染拡大の影響から1年延期となり、今年7月の開催を予定している東京オリンピック。だが、開幕まで約2か月半となった中、日本国内では新型コロナの新規感染者が増加し、東京や大阪で3度目の緊急事態宣言が発令されるなど、収束の見通しは立っていない。また、いち早く平穏な日常を取り戻すのに大きなカギとなるワクチンの接種も進んでおらず、開催に向けては依然として困難を極めている。

 そんな中、大坂なおみと錦織圭が共に「安全な大会を実現するにはもっと議論をすべきだ」と主張したように、テニス界でも選手たちからすでに東京五輪の開催強行に対する懸念の声が広がっている。オリンピックの男子シングルス部門で2度目の金メダルを狙うラファエル・ナダル(スペイン)も「今は(出場については)明確な答えが出せない」とコメントしているほどだ。

 フェデラー自身は「スイスを代表してメダルを獲得することは、とても誇らしいことだ」と東京五輪の出場には意欲を示しているようだが、「(オリンピックについては)また家でよく話し合おうと思っている」と慎重な姿勢も見せている。
 
 一方で、開催可否について未だに明確な決断が下されていない状況に対しては、「東京オリンピックが開かれるのかどうかについてアスリートたちは決定を求めている」とコメントした。

 新型コロナが猛威を振るう中で様々な競技のアスリートが安心してオリンピックに出場するためには、大前提としてさらなる安全の保障が求められる。最終的に大会主催側からどのような判断が下されるのか、今後の動向に注目したいところだ。

 なお、フェデラーは今年3月のカタール・オープンで右ヒザのケガから14か月ぶりにツアー復帰を果たしたものの、以降は「トレーニングに集中する」という理由で再び戦列を離れていた。今後は5月16日から開幕する地元スイスでのジュネーブ・オープンでツアー復帰を予定しており、その後も全仏オープンやウインブルドン選手権といったビッグトーナメントにも出場する意向を明かしている。

文●中村光佑

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