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【テニスギア講座】テニスシューズは消耗品。寿命はどこで判断すればいい?<SMASH>

松尾高司

2021.05.30

激しい動きをするプロは頻繁に新しいテニスシューズに履き替えられるが、一般愛好家はつい長く使ってしまいがち。寿命のサインを見逃さないようにしたい。写真:THE DIGEST写真部

 テニスシューズは消耗品であり、履いているうちに必ず劣化します。普通にプレーしていれば、何年も使えるものではないことを知っておいてください。では、その寿命の目安はどこなのか? 

 そもそも靴に求められるのは足を守ることですが、テニスシューズの場合はそれだけでなく、「サーフェスをグリップする」「衝撃から足を守る」が基本機能であり、プレーレベルが上がるにつれ、「ホールド性」「安定性」などの機能も必要になります。初中級者はそんなに気にしなくていいだろうなんて侮ってはいけません。むしろ初中級者こそ、基本機能が強く求められるのです。

 まずチェックする項目は「グリップ性能」です。その際に注目すべきは「アウトソールの状態」。オールコート用ならば「溝が浅くなっていないか?」、砂入り人工芝用ならば「スタッド(イボイボ)が磨り減っていなか?」を確認しましょう。

 ソールが摩耗すると、サーフェスをしっかり捕まえることができなくなって、止まる時や蹴り出す時に滑って転んでしまう危険が高くなります。溝がなくなっている部分を発見したら買い替えを検討。アウトソールが摩耗し切って、ミッドソールが露出していたりしたら、すぐに買い替えですね。
 
 一般にテニスシューズのソール(靴底)は3層構造で、底面でサーフェスに接する硬い部分が「アウトソール」で、グリップ性能に関与します。その上の柔らかい層は「ミッドソール」と呼ばれ、衝撃を緩和します。さらにシューズの中には「インナーソール」があり、足裏にフィットして安定性を高めたり、快適なクッション感を生み出します。

 それぞれが使用するにつれて機能低下するため、劣化したら買い替えを検討しなければなりませんが、感覚的にわかりにくいのが困りものです。靴裏の溝の状態は目で見てわかりますが、ミッドソールのつぶれ具合は、構造的に外観から判断しにくく、使用感覚に頼るしかありません。ところが「衝撃緩和性=クッション性能」は徐々に低下するため、感覚的な変化には気付きにくいのです。

 一方インナーソールは、多くのテニスシューズの場合、挿入式となっているため、シューズから取り出してつぶれ具合を確認できます。できれば新品状態の時に一度取り出して、その厚さを覚えておきましょう。それがペタンコになっていたら、挿し替え用インナーソールを購入して入れ替えるか、新しいシューズを買うかを検討する時です。

文●松尾高司(KAI project)
※『スマッシュ』2019年5月号より抜粋・再編集

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