現在開催中の「全仏オープンテニス」（５月30日～６月13日／フランス：パリ／クレーコート／グランドスラム）で、試合後の会見拒否を表明した大坂なおみに対し、WTA（女子テニス協会）が声明を公開。彼女の持つメンタルヘルスの問題について、対話を求めている。

　大坂は今大会の開幕前に、自身のSNSに投稿したメッセージで、「人々がアスリートのメンタルヘルスについてあまり考えていないと感じていた」として、試合後の会見について「負けた選手をあのような場で問い詰めるのは、落ち込んでいる人を蹴落とすようなもの」と、選手の精神状態に悪影響を及ぼす可能性を指摘していた。

　現地30日の初戦に勝利した後、彼女は実際に会見に出席しなかったが、これに全仏オープンの主催サイドは「行動規範に従って、彼女（大坂）に15000ドルの罰金を科しました」と発表。さらに四大大会（全豪・全仏・ウインブルドン・全米）共同の公式声明で、「今後も記者会見の拒否を継続する場合は全仏オープンの失格処分や、更なる多額の罰金、将来的なグランドスラムの出場停止など、より厳しい制裁を受けることになる」と通告した。

　そんな中、女子テニスツアーを統括するWTAも声明を発表。「メンタルヘルスはWTAにとっても、そして一人ひとりの選手にとっても、最も重要なものです。私たちはアスリートの精神的・感情的な健康と幸福を守るために、専門家チームとサポートシステムを用意しています。ナオミ（およびすべての選手）との対話を歓迎します」と、メンタルヘルスに悩みを抱える大坂に寄り添う姿勢を見せた。
  　ただ、一方で「プロのアスリートには、自分を取り巻くメディアに対して発言し、自分の考え方やストーリーを伝える機会を持つことで、スポーツとファンに対する責任を果たす役目があります」として、メディア対応の必要性にも言及している。

　今回の大坂の行動には、現役選手からも多くの反応があり、女子テニスでは世界ランク１位のアシュリー・バーティー（オーストラリア）や、同９位のイガ・シフィオンテク（ポーランド）らが、一定の理解を示しつつも「会見は仕事の一部」とコメント。

　男子テニスでも同様の反応を示す選手が多く、世界ランク３位のラファエル・ナダル（スペイン）は「報道機関がなければ、ニュースを書いてくれる人たちがいなければ、私たちは今日のようなアスリートにはなれなかっただろう」としている。

構成●スマッシュ編集部

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