海外テニス

「可能な限りのサポートを…」四大大会主催者が一転して大坂なおみの心情に理解を示す。状況の改善も宣言<SMASH>

中村光佑

2021.06.02

これまで4つのグランドスラムタイトルを手にしている大坂。うつ症状によるツアー離脱を受け、主催者側も寄り添う姿勢を見せている。(C)Getty Images

 精神的な問題を理由として、現地時間5月31日に「全仏オープンテニス」(5月30日~6月13日/フランス:パリ/クレーコート/グランドスラム)の棄権を表明した女子テニス世界ランク2位の大坂なおみに対し、四大大会(全豪・全仏・ウインブルドン・全米)は共同で何らかのサポートを行なう意向を示した。

 大坂は全仏オープンの開幕3日前に「負けた後の会見は、落ち込んでいる人を蹴落とすようなもの」として"記者会見ボイコット"を宣言。実際に30日に行なわれた女子シングルス1回戦直後の記者会見を拒否すると、規定違反による15000ドル(約165万円)の罰金が科せられただけでなく、四大大会の主催側が共同の公式声明で将来的なグランドスラム出場停止などの厳しい制裁を下す可能性を示唆したため、全世界に波紋を呼んだ。

 一連の騒動の収束が見込めない中、現地時間5月31日に大坂は自身のSNSを通じて全仏オープンの棄権を発表。さらに「2018年の全米オープン以来、長い間うつ病に悩まされてきて、それに対処するのに本当に苦労した」と心の病を患っていたことも告白した。

 これを受け、四大大会側は一転して「大坂なおみ選手がコートを離れている間、可能な限りのサポートと支援を提供したいと思う」とコメント。「私たちは、ナオミが自らの言葉で、彼女が感じているプレッシャーや不安を語ったことを称賛するとともに、テニスプレーヤーが直面する可能性のある独特のプレッシャーに共感している」と大坂の心情に一定の理解を示した。
 
 そして「選手のウェルビーイング(心身と社会的な健康を表す概念)は常にグランドスラムの優先事項だが、今後はWTA、ATP、ITFと共に、良好なメンタルヘルスとウェルビーイングを促進するために、さらなる行動を起こしていく」とした上で、「私たちは、選手、ツアー、メディア、そしてテニス界全体と協力して、意味のある改善を行なうつもりでいる。私たちはグランドスラムとして、選手が最高の栄誉を得るための舞台を作ることを目指していく」と締めくくった。

 今回の記者会見ボイコット宣言は瞬く間に賛否両論を巻き起こし、テニス界を揺るがす前代未聞の事態へと発展している。それだけになおさら大坂の精神状態に関する懸念の声が広がっていることも事実だ。まずは心を休めて、大坂が再び元気な姿でツアーに復帰することを祈りたい。

文●中村光佑

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