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海外テニス

初戦で「テニスって大変」と痛感した錦織圭。2回戦はランク上位の難敵ながら「自分の良いところ」を出せる相手<SMASH>

内田暁

2021.06.01

相手の高く弾むボールに苦しみながらも、フルセットの末に全仏オープン初戦突破を果たした錦織。(C)Getty Images

相手の高く弾むボールに苦しみながらも、フルセットの末に全仏オープン初戦突破を果たした錦織。(C)Getty Images

 昨年も初戦を戦った14番コートで、錦織圭が跳ねた。

 相手のボールに飛びつき、コースを左右に打ち分ける。その姿は軽快で、かつて米国メディアに「絹のように舞う」と形容された躍動感と繊細さにあふれているようにも写った。

 だが……本人の胸中にあったのは、やりにくさとプレー選択への迷い。

「あれだけ高い球を打ってくる選手は、なかなかいないので、それに手こずった場面が多くあった。あれをどうにか処理できていればというのが……最後までどうしていいのかわからなかった」

 この日が31歳の誕生日だったアレッサンドロ・ジャンネッシは、全仏オープン本戦は初出場ながら、ATPチャレンジャーではクレーで3勝している赤土巧者。高く跳ねるムーンボール気味のスピンショットも多用し、しかもサウスポーという特性もある。錦織が得意とする回り込んでの逆クロスも、巧みにカウンターで切り返した。

 錦織にしてみれば、プレー選択への迷いが「ブレークポイントを取れないのと、相手のブレークポイントをセーブもできていなかった」との思いにもつながっただろう。試合時間4時間4分、フルセットの熱戦を制した錦織の口からは、反省の言葉が並んだ。
 
 31歳になった今、錦織は「やっぱ、テニスって大変だなって」としみじみと言った。

「そもそも一人で、誰とも話せない。人間って誰とも話せないとウツになるっていうじゃないですか。それがテニスコートで、ストレスもかかる状態でやるので、そこが“第一めんどうくさい”」

 愛着ゆえのわずらわしさを込めて、錦織はテニスを「めんどうくさい」と笑う。

「思い切ったプレーもしなくちゃいけないし、その判断も、全部自分に委ねられる。自分の気持ちの中で、思いきれる自信がないと腕を振り切れない。今日で言えば、高い球をもう少し前に入って打ったりすればよかったですが、それも毎回やるのが難しかったり。

 正解は自分の中でなんとなくあるんですが、それを毎回はできないというか。テニスは、身体と気持ちとを一緒に動かさなくてはいけないので。最近特に思います、テニスって大変だなって」
 
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