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国内テニス

【伊達公子】東京五輪で有明が変わらなかったのは残念。大坂なおみに次ぐ若手の育成、底上げが必要<SMASH>

伊達公子

2021.06.11

オリンピックに限らず、選手のサポートに見直しがあるといいという伊達公子さん。写真:塚本凛平(THE DIGEST写真部)

オリンピックに限らず、選手のサポートに見直しがあるといいという伊達公子さん。写真:塚本凛平(THE DIGEST写真部)

 東京オリンピックが開催される、されないにかかわらず、レガシーの1つは、ハード面での充実だと思います。私としては、有明が思ったほど変わらなかったのは、とても残念でした。インドアコートの8面は生かされるけれど、それはオリンピックレベルの話ではないと思うんですよね。

 すごく期待していましたが、それぐらいしか予算が回ってこなかったということでしょうか。でも錦織圭選手と大坂なおみ選手という2人がいて、予算が回ってこないなら、もう2度と有明が拡大するチャンスはないと思わざるを得ません。

 本来なら、今の倍ぐらいのものができてもおかしくないと思うんです。有明がオリンピックの拠点になるので、施設を活用するのはわかります。倍のスペースを追加することができなかったとしても、もっと劇的に有明が生まれ変わってほしかったですね。今やらなかったら、いつやるんだろうという気がします。
 
 東京オリンピックに向けたテニス選手のサポートについては、成功した部分と残念な部分があります。

 遡ると大坂選手が日本とアメリカのどちらの国籍にするかという時点で、協会は彼女が日本を選択するために最大限のサポートをしていました。彼女が安心してツアーに専念できる環境が整い、実力を発揮し始めたのは成功した点でしょう。

 日本を選択した後のサポートももちろん大切ですが、その時には並行して層の厚さを考えるべきだったのではないかと思います。強化に費やせる予算を、大会会場に送り込む人件費に回していた印象が強いのですが、大坂選手に次ぐ若手を育て、底上げにつながることに使うのも必要だったのではないかと思います。

 オリンピックに限らず、協会の選手のサポートについては見直しがあっていいのではないでしょうか。たとえば、国を代表して戦うビリー・ジーン・キング・カップ(※前フェドカップ)の大会前後でも変わらない、徹底した若手に向けたサポート体制を行なうなど。他国を参考にして、できることを見つけなければならないのではないかと感じます。

文●伊達公子
撮影協力/株式会社SIXINCH.ジャパン

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