このシリーズでは、多くのテニスの試合を見ているプロや解説者に、「この選手のここがすごい」という着眼点を教えてもらう。試合観戦をより楽しむためのヒントにしてほしい。第5回は久松亮太プロに話を聞いた。試合観戦する時に注目してほしいのは、ノバク・ジョコビッチ(セルビア)が操る「ラリーのテンポ」だ。
2020年最終戦で、ジョコビッチは現在世界2位のダニール・メドベージェフ(ロシア)にストレートで敗れているが、21年の全豪オープン決勝ではストレートで勝利している。
一体何が変わったのか。「ジョコビッチは全豪オープン決勝では、ラリーのテンポを一定にしていませんでした」と話す久松プロは、「目立たない部分ですが、ジョコビッチはラリーのペースを変える天才なんです」と言い切る。
1ショットごとに緩急をつけてペースを変える戦略は、テニス観戦をしているとイメージできるだろう。それに加えて、ジョコビッチはコート内にステップインして打てる状態の時に、あえて柔らかいボールを打つなど、相手の予想を外すのプレーも行なっている。
極めつけは「試合を通してペースを変える」ということ。それはジョコビッチがフェデラーと対戦した試合を見た時にわかった点だ。「ファーストと比べてファイナルセットではラリーのスピードが落ちていました。ジョコビッチは試合を通して少しずつ打つボールのスピードを落としていたんです」という。
「ファーストセットはフェデラーの速めのペースに乗っていました。そこから徐々に落とすので気付きづらいんです。フェデラーにとってはいつも通りのプレーをしているのに、リカバリーされているという印象でしょう」。遅いペースの方がジョコビッチに有利なのは明らかで、じわじわと自分のペースに持ち込んだというわけである。
久松プロは録画した試合を見ている途中で寝てしまい、起きたらファイナルセットで、「ラリーのペースが変わっていて驚きました」。また最初から見直して、ペースの変化がわかったという。普通に見ていると気づかない部分にも、勝つ工夫が隠されているとは、さすがトッププロである。
◆Novak Djokovic/ノバク・ジョコビッチ(セルビア)
1987年5月22日、セルビア生まれ、モナコ在住。188センチ、77キロ、右利き、両手BH。1位在位期間が史上最長。グランドスラム優勝は18で3位。マスターズ1000の9大会全てに優勝している唯一の選手。
取材・文●赤松恵珠子(スマッシュ編集部)
【連続写真】ジョコビッチのオープンスタンスで打つ守備&攻撃力を合わせ持つバックハンド
2020年最終戦で、ジョコビッチは現在世界2位のダニール・メドベージェフ(ロシア)にストレートで敗れているが、21年の全豪オープン決勝ではストレートで勝利している。
一体何が変わったのか。「ジョコビッチは全豪オープン決勝では、ラリーのテンポを一定にしていませんでした」と話す久松プロは、「目立たない部分ですが、ジョコビッチはラリーのペースを変える天才なんです」と言い切る。
1ショットごとに緩急をつけてペースを変える戦略は、テニス観戦をしているとイメージできるだろう。それに加えて、ジョコビッチはコート内にステップインして打てる状態の時に、あえて柔らかいボールを打つなど、相手の予想を外すのプレーも行なっている。
極めつけは「試合を通してペースを変える」ということ。それはジョコビッチがフェデラーと対戦した試合を見た時にわかった点だ。「ファーストと比べてファイナルセットではラリーのスピードが落ちていました。ジョコビッチは試合を通して少しずつ打つボールのスピードを落としていたんです」という。
「ファーストセットはフェデラーの速めのペースに乗っていました。そこから徐々に落とすので気付きづらいんです。フェデラーにとってはいつも通りのプレーをしているのに、リカバリーされているという印象でしょう」。遅いペースの方がジョコビッチに有利なのは明らかで、じわじわと自分のペースに持ち込んだというわけである。
久松プロは録画した試合を見ている途中で寝てしまい、起きたらファイナルセットで、「ラリーのペースが変わっていて驚きました」。また最初から見直して、ペースの変化がわかったという。普通に見ていると気づかない部分にも、勝つ工夫が隠されているとは、さすがトッププロである。
◆Novak Djokovic/ノバク・ジョコビッチ(セルビア)
1987年5月22日、セルビア生まれ、モナコ在住。188センチ、77キロ、右利き、両手BH。1位在位期間が史上最長。グランドスラム優勝は18で3位。マスターズ1000の9大会全てに優勝している唯一の選手。
取材・文●赤松恵珠子(スマッシュ編集部)
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