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全仏棄権で批判を受けたフェデラーに、元世界1位のクエルテンは「賢明な判断」と擁護<SMASH>

スマッシュ編集部

2021.06.12

フェデラー(左)のウインブルドンでの活躍に期待を寄せるクエルテン氏(右)。(C)Getty Images

 現在開催中の「全仏オープンテニス」(5月30日~6月13日/フランス:パリ/クレーコート/グランドスラム)で、4回戦を戦う前に棄権を発表した第8シードのロジャー・フェデラー(スイス/8位)。彼の決断は大きな注目を集めたが、同時に一部からは身勝手な行動との批判も受けた。

 2年ぶりに全仏の舞台へと帰ってきた39歳のフェデラーは、3時間半を超える激闘となった3回戦後の会見で「次戦をプレーするかはわからない。ヒザに負担をかけ続けるのはリスクが大きすぎる、身体を休めたほうが良いか」と4回戦を前にしての棄権を示唆。

 その後、「2度にわたるヒザの手術と1年以上のリハビリを終えた後では、自分の身体に耳を傾け、追い込み過ぎないようにすることが大切だと思った」として棄権を発表したが、このフェデラーの行動に、元デ杯アメリカ代表キャプテンのパトリック・マッケンロー氏は「大会の途中で棄権するのは見栄えが悪い」とコメント。

 さらに、元全豪オープン大会ディレクターのポール・マクナミー氏は「彼の行動は他人や大会に大きな影響を与える。どこに出店するかを好きに選べるキャンディートラックではない」と痛烈な批判を述べた。

 一方で、元世界ランク1位で同大会3度の優勝経験を持つグスタボ・クエルテン氏はフェデラーに理解を示しており、「フェデラーの決断は非常に賢明な判断だった」と語る。また、「彼は自分のキャリアにダメージを与えないために、どこまでできるのかを明確に理解している」として、それが「長い目で見ればテニスファンにもメリットがある判断だったろう」と説明した。
 
 今年3月に、2度に及ぶ右ヒザの手術から復帰したフェデラーの、現在の最大の目標はウインブルドンでのタイトル獲得だ。クエルテン氏はフェデラーが惜しくも優勝を逃した2019年の同大会を回顧する。

「2年前、フェデラーはマッチポイントを逃して悔しい負け方をしてしまった。これが彼のキャリアで、グランドスラムの最後のハイライトになってしまうなんてあまりに悲しいことだ」

 さらにクエルテン氏は、フェデラーが引退を決断するのは「もうグランドスラムで勝つチャンスがないとわかった時」と予想しつつも、「サンプラスのように、優勝してから引退を決断してくれたら素晴らしいことだね」と、生ける伝説が再び得意の芝コートで輝く姿を切望している。

構成●スマッシュ編集部

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