海外テニス

イギリス期待の18歳、ラドゥカヌが初めての四大大会でベスト16入りの快進撃「何が起こったのか全くわからなかった」<SMASH>

中村光佑

2021.07.04

イギリス勢でただ1人勝ち残っているのが主催者推薦で出場した18歳のラドゥカヌだ。女子テニスに新たなヒロインが誕生した。(C)Getty Images

 テニスの四大大会「ウインブルドン」(6月28日~7月11日/イギリス:ロンドン/グラスコート)は現地7月3日に女子シングルス3回戦を実施。ワイルドカード(主催者推薦)で出場している世界ランク338位のエマ・ラドゥカヌ(イギリス)が同45位のソラーナ・シルステア(ルーマニア)を6-3、7-5のストレートで下し、同大会初の4回戦進出を果たした。

 18歳で今年6月にWTAツアーへ参戦したばかりのラドゥカヌは2回戦で、2019年に全仏オープン準優勝を収めた世界42位のマルケタ・ボンドルソワ(チェコ)をストレートで破り、3回戦へ進出。だが、球足が速いグラスコートで強打を武器とするシルステアには厳しい戦いを強いられることが予想されていた。

 それでも試合が始まると地元ファンの大歓声を浴びたラドゥカヌが安定したプレーを披露し、3度のブレークに成功して第1セットを先取。第2セットはお互いに一歩も譲らない展開となったが、迎えた第12ゲームで粘りのディフェンスを見せたラドゥカヌがブレークを奪って勝負あり。イギリス女子テニス界の新星が、またしても聖地ウインブルドンの舞台で番狂わせを起こした。
 
 グランドスラム本戦初出場にして初のベスト16入りを決めたラドゥカヌは試合後に行なわれた記者会見で「第2セットの3-0、0-40とリードした場面からカムバックしてきて、大きなポイントでもビッグサーブを打ってきた」と対戦相手を称賛しつつも、「勝利が決まった時、私の感情は本当に言葉で表現することができなかった。何が起こったのか全くわからなかったし、今も私はとてもとてもハイになっている。あんなに良いテニスをしたことはなかったし、とても楽しかった」と少々興奮した様子で喜びを語った。

 また、「ウインブルドンの1番コートでプレーすることは、夢のようなことだと思った。このような機会を得られる人はあまりいない。『わぁ、こんな経験、こんなチャンスがあるんだ』と思っていた。1番コートでプレーしていると、何か刺激を受けて、普段はしないようなことをしてしまう」ともコメント。初出場となったウインブルドンで楽しみながらプレーができているという。

 ベスト8進出を懸け、次なる4回戦でラドゥカヌは世界75位のアイラ・トムヤノビッチ(オーストラリア)と対戦する。ツアーデビューから間もない中、物怖じすることなく上位選手をなぎ倒していくその強さに、テニスファンの間でも驚きの声が上がっている。まだまだこの先も「ラドゥカヌ旋風」を巻き起こせるか、彼女のパフォーマンスから目が離せない。

文●中村光佑
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【動画】ラドゥカヌがシルステアを下したウインブルドン3回戦ハイライト