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「僕らだって人間なんだ!」失意のメダルなしに終わったジョコビッチが“ラケット破壊”のワケを明かす【東京五輪】

THE DIGEST編集部

2021.08.01

メダル獲得の悲願を叶えられずに不満を爆発させたジョコビッチ。ラケットを破壊した真意を明かした。(C)Getty Images

 自身初の金メダル獲得を目指したテニス界の絶対王者は、"無冠"で東京を去った。

 7月31日、テニス男子シングルスの3位決定戦が行なわれ、第1シードのノバク・ジョコビッチ(セルビア)は4-6、7-6(8-6)、3-6で第6シードのパブロ・カレーニョ・ブスタ(スペイン)に敗れた。

 前日の準決勝で、ドイツのアレクサンダー・ズベレフに敗れ、年間ゴールデンスラム達成の夢が潰えていたジョコビッチは、この試合でも精彩を欠いた。持ち前の力強いテニスは鳴りを潜め、冷静さを失った34歳は、思わぬ行動に出る。

 第3セットのファーストゲームでブレイクチャンスを不意したジョコビッチは、空席のスタンドにラケットを投げ捨てたのだ。さらにネット際の攻防にミスを犯した際には、怒りを抑えきれずに、新たなラケットを破壊したのだ。

 この王者らしからぬ振る舞いは小さくない物議を醸した。だが、「僕は精神的にも、肉体的にも、信じられないほどの倦怠感を抱えながらプレーしていたんだ」と試合を総括したジョコビッチは、ラケットを破壊した理由を次のように説いた。
 
「申し訳ないとは思う。ただ、僕は自分のタンクに残されたエネルギーはすべてを費やしていたから、感情が爆発してしまったんだと思う。試合中のコートでは誰もが緊張しているから、これは起こりえることなんだ」

 さらに百戦錬磨の男は、「僕らだって人間なんだよ」と一連の行動に対する理解を求めた。

「こういう行動は初めてではないし、おそらく最後でもない。もちろん良いことではないのは分かっているが、そういうことをしてしまうのも僕だ。こういうメッセージを発信するのは申し訳なく思うが、僕らは人間なんだ。感情をコントロールするのが難しい時だってある」

 また、この試合後に開催予定だった混合ダブルスの3位決定戦を、左肩の怪我を理由に棄権したジョコビッチ。ゴールデンスラム達成のプレッシャーと酷暑に苦しんだ東京での日々は、想像以上にショックだったようだ。

構成●THE DIGEST編集部