海外テニス

「これがスポーツなんだ」無冠に終わった王者ジョコビッチが東京五輪を総括「来たことは全く後悔していない」【東京五輪】

中村光佑

2021.08.02

メダル獲得に及ばなかったジョコビツチだったが、まだ『年間グランドスラム』の可能性は残っている。(C)Getty Images

 2021年に入ってから全豪・全仏・ウインブルドンを制し、1年で全ての四大大会とオリンピックを制覇する『年間ゴールデンスラム』の偉業達成にも大きな期待が寄せられていた男子テニス世界ランク1位のノバク・ジョコビッチ(セルビア)。

 だが、迎えた東京オリンピックでは男子シングルス準決勝でアレクサンダー・ズべレフ(ドイツ/5位)に逆転で敗れ、自身初の金メダル獲得を逃すとともに、ゴールデンスラムの可能性も消滅。誰もが予想しなかった結末に、テニスファンや海外メディアで瞬く間に衝撃が広がった。

 さらに、パブロ・カレノブスタ(スペイン/11位)との3位決定戦でもフルセットで敗退。その試合の直後にはニーナ・ストヤノビッチ(セルビア)とのペアで混合ダブルス3位決定戦も予定されていたが、ジョコビッチの左肩の怪我を理由として、同ペアはこれを棄権。結果的にセルビア勢はテニス競技でメダルをもたらすことはできなかった。

 今大会では非常に好調な勝ち上がりを見せ、金メダル獲得も間違いないと予想されていた中で、不本意な結果に終わってしまった世界王者のジョコビッチ。シングルス3位決定戦終了直後のインタビューでは「シングルスでもミックスダブルスでも、国のためにメダルを獲得できなかったことは残念に思っている。昨日も今日も、自分の力を発揮できなかった。精神的にも肉体的にも疲れてしまい、自分のテニスのレベルが下がってしまった」と悔しさを滲ませた。
 
 それでも最後には「セルビアの多くのファンを失望させてしまったことは残念だけど、これがスポーツなんだ」とした上で、「(東京)オリンピックに来たことは全く後悔していない。僕は、人生に偶然はなく、すべての出来事には理由があると信じている。これまでのテニス人生でもオリンピックや大きな大会で、心が折れるような敗戦があった。そのような敗戦が自分をより強くしてくれたことは分かっているし、またそうなると思っている」と今後の更なる活躍へ前向きな言葉を残した。

 ジョコビッチにとっては、慣れない日本ならではの猛暑や無観客の会場でプレーしなければならない状況も精神的な負担につながったのかもしれない。男子テニス史上初の『年間ゴールデンスラム』という偉業は叶わなかったが、まずはゆっくりと身体を休め、『年間グランドスラム』達成をかけた全米オープン(8月30日~9月12日)に向けて、調子を取り戻していってほしい。

文●中村光佑

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【画像】選手村の夜景をバックにストヤノビッチと写真に納まるジョコビツチ