国内テニス

ジュニア期待の東竜平が全日本選手権、初戦を突破。4年ぶり出場の西村佳奈美は敗れるも「テニスが楽しくて仕方ない」

渡辺隆康(スマッシュ編集部)

2019.10.26

2回戦に進んだ高校3年生の東竜平。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部)

「三菱 全日本テニス選手権94th」の本戦が10月26日(土)、東京・有明コロシアム/有明テニスの森公園コートにて開幕。男女シングルスの1回戦などが行なわれた。

 男子シングルスでは、初出場の高校3年生、東竜平(相生学院高校)が沼尻啓介(山喜)に6-2、6-4で勝利。インカレチャンピオンの今村昌倫(慶應義塾大学)、同準優勝の山尾玲貴(関西大学)、同複王者の田中優之介(早稲田大学)ら学生陣も勝ち上がった。

 一方、全日本ジュニアとインターハイの2冠を制したホープ、藤原智也(東山高校)は山尾に1-6、2-6で敗退。「センターコートで緊張した。高校生なので思い切り行きたかったけど、行けなかった」と、不完全燃焼だった様子だ。

 女子シングルスでは高卒プロ1年目の輿石亜佑美(竜興化学工業)、西郷里奈(TEAM自由が丘)が揃って勝利。大学生の阿部宏美(筑波大学)、松本安莉(山梨学院大学)、清水映里(早稲田大学)、今村凪沙(鹿屋体育大学)も2回戦にコマを進めた。

 また、かつてジュニアの大器として注目され、一度引退して復帰した西村佳奈美(フリー)は、上田らむ(ノアIS)に5-7、5-7で敗退。4年ぶりの全日本を白星で飾れなかった。ただ「色んな方たちに試合を見てもらえるのはとてもうれしい。今はテニスが楽しくて仕方がない」と表情は明るかった。
◆今日の注目選手=東竜平(相生学院高校)

 今日の試合でただ1人勝ったジュニアが、高校3年生の東竜平だ。昨年の世界スーパージュニアでベスト8入りするなど、ここ1年ほどで頭角を現してきた。今夏の全日本ジュニアとインターハイではベスト8止まりだったが、この全日本の大舞台でプロの沼尻を破り、結果を出した。

 あまりスピンをかけず、高い打点から伸びのあるボールを打ち込んでいくスタイル。試合の序盤は「緊張して身体が動かなかった」そうだが、中盤からは「積極的に攻めていけた」と語るとおり、随所で鋭いウイナーを奪って沼尻を突き放した。

 今年5月の関西オープンで、プロに勝って優勝したことが自信になっているという。と同時に、ジュニアとプロの違いも実感した。「プロが相手だと、早く打ちにいってミスしたりすると流れが悪くなる。変なミスをせず、しっかりラリーしてから攻めることが大切」だと学んだ。今日の試合でも、守備と攻撃の切り替えがスムーズで、ウイナーを量産している割にはミスが少なく、状況判断に長けているという印象を受けた。

 高校卒業後は、アメリカの大学に留学する予定だ。「レベルが高い中でプレーしたい。4年間やるか、途中でプロになるか。一応プロは目指している」。自分で学んで成長できる彼のようなタイプは、海外で経験を積むのはいい選択だろう。どんな選手になって帰ってくるか、楽しみにしたい。

取材・文● 渡辺隆康(スマッシュ編集部)