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海外テニス

最速記録を塗り替え続けたロディックのサービス。ロスのないパワー伝達はまさに理想形【レジェンドFILE41/最終回】<SMASH>

スマッシュ編集部

2021.08.15

上体のひねりや反り、それをバネのように戻す動き、腕のひねり返しなど、スピードを生む要素が満載で、しかもそれらが淀みなく連動していたのが、ロディックのサービスだ。写真:スマッシュ写真部

上体のひねりや反り、それをバネのように戻す動き、腕のひねり返しなど、スピードを生む要素が満載で、しかもそれらが淀みなく連動していたのが、ロディックのサービスだ。写真:スマッシュ写真部

 アンドレ・アガシ、ピート・サンプラスの後継者としてアメリカの期待を一身に集めたのがアンディ・ロディックだ。彼の武器は最速記録を更新し続けるビッグサービス。こういうタイプのパワープレーヤーはアメリカで特に人気が高い。

 ロディックが2003年に全米オープンを制し、ランキング1位についたときの人気はすごかった。しかし、1位の座は長続きしなかった。すぐに絶対王者、ロジャー・フェデラーに抜かれ、結局、フェデラーの陰に隠れた形で2012年を最後に30歳で引退することになった。

 そうは言っても、そのサービスフォームは今なお理想形と称える識者は多い。ロディックがスピードを出せた要因は複数あるが、連続写真から幾つかポイントを抜き出すと、まずテイクバックの形がいい。ラケットを担いでトロフィーポーズを作った時に(4コマ目)、上体を十分にひねり、腰を「く」の字に突き出して、下半身の力をためている。
 
 次に6コマ目での胸の張り。弓を引くように反ったこの姿勢が、下半身でためたパワーを腕に伝えるポイントだ。そうやって鋭く振り出した腕を、プロネーションすることでさらに加速(9コマ目)。これはうちわを扇ぐように、ヒジから手首にかけての前腕をひねり返す動作で、サービスでスピードを生むには不可欠とされる。

 そして、これらの動きが全てつながっているのが素晴らしい。少しクイック気味のタイミングで打つロディックのモーションは、途中で止まることなく連動しているため、ためたパワーが増幅しながらインパクトに向かっていく。パワーの伝達に全くロスがないサービスフォームなのだ。

【プロフィール】アンディ・ロディック/Andy Roddick(USA)
1982年生まれ。ATP最高ランキング1位(2003年11月)。グランドスラム通算1勝(US:03年)。2000年代を代表する高速ビッグサーバー。03年には全米優勝と世界No.1を達成し、次代の旗手と目されたが、その後は同世代のフェデラーに対してGS決勝で4度、準決勝で3度敗れるなどビッグタイトルからは遠ざかった。12年の現役引退後はスポーツ番組のコメンテーターとして活躍するなど、ユーモアあふれるキャラクターで人気を集めている。

編集協力●井山夏生 構成●スマッシュ編集部

【PHOTO】ロディックをはじめ、サンプラス、アガシらレジェンドの希少な分解写真
 
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