「三菱 全日本テニス選手権94th」は10月27日(日)、東京・有明コロシアム/有明テニスの森公園コートにて、女子シングルス2回戦、男子シングルス1回戦などが行なわれた。
女子はシード勢が登場。第2シードの波形純理(伊予銀行)、第4シードの加治遥(島津製作所)らは順当に勝ち上がったが、第6シードの柴原瑛菜(橋本総業HD)は宮崎百合子(JITC)に敗れた。
東京五輪を見据えて日本国籍を選び、全日本に初出場した柴原だが、6週続けてWTAツアーのダブルスを戦ってきた疲労は色濃かった。「最初のセットは良かったが、その後は結構足が重かった」と言うとおり、試合後半に失速。柴原と同じく海外育ちで、アメリカの大学出身の宮崎に、6-3、1-6、1-6で逆転負けした。
学生がプロを破る番狂わせも目立った。清水映里(早稲田大学)は第8シードの牛島里咲(マサスポーツシステム)を、松本安莉(山梨学院大学)は第9シードの瀬間詠里花(橋本総業HD)を下し、ベスト16入りを決めている。
男子では、ジュニアの齋藤惠佑(グローバルプロTA)が大植駿(関西大学)をフルセットで下し、全日本初出場&初勝利。現在、プロ登録を申請中の齋藤は、「全日本はプロへの登竜門のような大会。思い切りやって、行けるところまで行きたい」と意気込んでいた。
その他では田形諒平(筑波大学)、松本樹(近畿大学)、岡垣光祐(法政大学)らの学生がプロに勝って2回戦にコマを進めている。
◆今日の注目選手=福田勝志(LUCENT ATHLETE WORKS)
「悔しいのもあるが、どちらかというと充実感の方がある」
43歳、今大会最年長の出場者である福田勝志は、竹島駿朗(Team REC)に4-6、4-6で敗れた後、穏やかな口調でこう語った。
予選を勝ち上がり、7年ぶりに辿り着いた全日本の本戦。それを称えるかのように、ノーシード同士の対戦ながら試合はコロシアムに組まれた。
福田の打つボールは、現代の若いプレーヤーのそれとは明らかに異なる。相手の球威を利用すべくコンパクトに面を合わせ、押すようなスイングでコーナーに送る。スピードはないが、緻密にボールを散らす組み立ては、80年代や90年代のテニスを彷彿させる。
「今の選手はラケットを振り回して飛ばすけど、僕は芯で捉えることでいかに質の高いボールをコントロールするかが勝負」と福田。そのノスタルジーすら感じさせる配球で、コロシアムの“通”な観客をうならせたが、やはり球速が劣るぶん決定力に欠け、竹島の逆襲を許した。
しかし冒頭で述べたように福田に悲壮感はない。「40代で本戦を戦うのが1つの夢だった。それを達成できた」からだ。さらに、福田は予選も含めれば24年連続で全日本に出ており「25までいけば四半世紀ですから(笑)、来年は絶対に出たい」「今年94回だから100回大会にも!」と、彼にしか挑めない夢を次々と挙げる。
「どこで辞めるか、自分で線引きしたくないので」と語る福田はまだまだ若く見えた。
取材・文● 渡辺隆康(スマッシュ編集部)
女子はシード勢が登場。第2シードの波形純理(伊予銀行)、第4シードの加治遥(島津製作所)らは順当に勝ち上がったが、第6シードの柴原瑛菜(橋本総業HD)は宮崎百合子(JITC)に敗れた。
東京五輪を見据えて日本国籍を選び、全日本に初出場した柴原だが、6週続けてWTAツアーのダブルスを戦ってきた疲労は色濃かった。「最初のセットは良かったが、その後は結構足が重かった」と言うとおり、試合後半に失速。柴原と同じく海外育ちで、アメリカの大学出身の宮崎に、6-3、1-6、1-6で逆転負けした。
学生がプロを破る番狂わせも目立った。清水映里(早稲田大学)は第8シードの牛島里咲(マサスポーツシステム)を、松本安莉(山梨学院大学)は第9シードの瀬間詠里花(橋本総業HD)を下し、ベスト16入りを決めている。
男子では、ジュニアの齋藤惠佑(グローバルプロTA)が大植駿(関西大学)をフルセットで下し、全日本初出場&初勝利。現在、プロ登録を申請中の齋藤は、「全日本はプロへの登竜門のような大会。思い切りやって、行けるところまで行きたい」と意気込んでいた。
その他では田形諒平(筑波大学)、松本樹(近畿大学)、岡垣光祐(法政大学)らの学生がプロに勝って2回戦にコマを進めている。
◆今日の注目選手=福田勝志(LUCENT ATHLETE WORKS)
「悔しいのもあるが、どちらかというと充実感の方がある」
43歳、今大会最年長の出場者である福田勝志は、竹島駿朗(Team REC)に4-6、4-6で敗れた後、穏やかな口調でこう語った。
予選を勝ち上がり、7年ぶりに辿り着いた全日本の本戦。それを称えるかのように、ノーシード同士の対戦ながら試合はコロシアムに組まれた。
福田の打つボールは、現代の若いプレーヤーのそれとは明らかに異なる。相手の球威を利用すべくコンパクトに面を合わせ、押すようなスイングでコーナーに送る。スピードはないが、緻密にボールを散らす組み立ては、80年代や90年代のテニスを彷彿させる。
「今の選手はラケットを振り回して飛ばすけど、僕は芯で捉えることでいかに質の高いボールをコントロールするかが勝負」と福田。そのノスタルジーすら感じさせる配球で、コロシアムの“通”な観客をうならせたが、やはり球速が劣るぶん決定力に欠け、竹島の逆襲を許した。
しかし冒頭で述べたように福田に悲壮感はない。「40代で本戦を戦うのが1つの夢だった。それを達成できた」からだ。さらに、福田は予選も含めれば24年連続で全日本に出ており「25までいけば四半世紀ですから(笑)、来年は絶対に出たい」「今年94回だから100回大会にも!」と、彼にしか挑めない夢を次々と挙げる。
「どこで辞めるか、自分で線引きしたくないので」と語る福田はまだまだ若く見えた。
取材・文● 渡辺隆康(スマッシュ編集部)