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海外テニス

「自分の個性を変えたくありません」大坂なおみがメディアトレーニングを受けない理由を明かす<SMASH>

中村光佑

2021.08.24

メンタルヘルスの問題で同様に悩んでいる人たちの助けになったのではないかと言う大坂なおみ。(C)Getty Images

メンタルヘルスの問題で同様に悩んでいる人たちの助けになったのではないかと言う大坂なおみ。(C)Getty Images

 女子テニス世界ランク3位の大坂なおみが米ライフスタイルメディア「Women’s Health」のインタビューに応じ、自身のメディアとの向き合い方について語った。

 今年6月に行なわれた全仏オープンの開幕直前に「人々がアスリートのメンタルヘルスについてあまり考えていないと感じていた」として、突如“記者会見ボイコット”を宣言し、同大会を棄権した大坂。その際に2018年の全米オープン優勝後から長らく精神的なストレスに悩まされていたことを明かしていたが、一連の騒動はテニス界を揺るがす前代未聞の事態に発展した。

 前週行なわれたシンシナティ開幕前の公式オンライン記者会見では、「メディアを拒む一方で、メディアに出ることで大きな利益を得ているのでは」と問われた直後に涙を流し、会見は約4分間にわたって中断。その時の様子がSNSでも拡散され、国内外を問わず大々的に報道された。

 以前から「人前で話すことが苦手」と語っていた大坂だが、彼女に限らずアスリートにとって知名度アップに貢献するメディアの存在は切っても切り離せないものでもある。そんな中、近年はメディア対応スキルの習得を目的に行なわれる訓練の一環として「メディアトレーニング」も確立されているが、大坂自身はインタビューの中で「そのような訓練は望んでいなかったのです」とコメント。

 その理由については「自分らしくない定型的な返答をするために、自分の個性を変えたくありませんでした。確かに、私が混血であることと同じように、私の個性に違和感を覚える人もいるかもしれませんが、私自身はそれこそが自分らしさだと思っています」と説明している。

 一方、ここ最近は注目を浴びて不安になることが多くなっている中で、内向的な性格を持つ自分を受け入れるための努力を重ねているという大坂。
 
「"静かな人"というレッテルを貼られて育つと、自分を枠にはめてしまい、さらに悪いことに、自分が溶け込みたいと思っている時に目立ってしまいます」としつつも、「でも今はそれを受け入れて、自分のものにしようとしています」と少しでもポジティブに考えることを心掛けているようだ。

 また、大坂は自身のメンタルヘルスの問題をオープンにしたことで、「同じように悩んでいる人たちを助けることができたのではないか」という。

 その上で「私は何人かの人を助けることができたと感じたと同時に、アスリートであっても他の人と同じ人間であることを知ってもらいたいと思っています。私たちは皆、人生の中で何かを抱えているのですから。1つのジェスチャー、1つの活動、1つのプログラムが人の人生に影響を与え、(何かを)変えることができるという考えは、私にとって本当に力強いものなのです」とメッセージを残した。

 コート内外で多大な影響力を持つ大坂にとって、周囲からのプレッシャーは計り知れないものがあるだろう。まだ23歳と若いだけにテニスプレーヤーとしてのキャリアは長いが、今後もどのように自分と向き合っていくのか注目したい。

文●中村光佑

【PHOTO】大坂なおみが2年ぶりの優勝!全豪オープン2021の厳選写真をお届け!
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