海外テニス

「すべてが狂ってしまった」負傷でシーズン強制終了の全米王者ティームが苦しい胸の内を明かす<SMASH>

中村光佑

2021.08.25

1年前の全米では悲願のグランドスラム制覇(写真)を成し遂げたティームだったが…。(C)Getty Images

 男子テニス世界ランク6位で昨年の全米オープン王者でもあるドミニク・ティーム(オーストリア)が、母国の日刊紙『Kronen Zeitung』のインタビューに応じ、負傷離脱となった現在の心境を語った。

 ティームは今年6月のマヨルカ選手権でランニングショットを打った際に右手首を負傷。その後、医師から「右手首の腱の脱臼」と診断され、出場を予定していた7月のウインブルドンと東京オリンピックも欠場。日本時間8月18日には自身のSNSで「マヨルカで負った怪我はまだ良くなっていない」として、2021年シーズンを終了すると発表した。

 インタビューの中で「手首のケガを負った時は自分のキャリアで最もつらい瞬間の一つだった。強烈なフォアハンドを打って、ボールがラケットに当たった時に、すでに物事がうまくいっていないことを実感した」と苦しい胸の内を吐露したティーム。

 さらに、「今シーズンは、怪我をする前から非常に悪い状態が続いていた。そして今回の挫折ですべてが狂ってしまった。初めての長期の怪我だ」と語った上で、「次の検診は1か月後だけど、それまでは、6週間ほど患部に装具をつけなければならない。もし手術が必要になると、すべてが4~8週間延期になり、シーズン最初のグランドスラムとなる全豪への参加も危ぶまれる」と現状を説明した。
 
 苦境に立たされているティームだが、すでに来年1月に行なわれる全豪での復帰を目標に定めているという。インタビューの最後には「あとは、コートに戻るためにしっかりと準備をするだけだ。今年の11月の初めにはトレーニングに復帰し、1月の全豪オープンに向けて最高の状態で臨みたいと思う。早くツアーに復帰して、最高の形に仕上げられるようにしたい」と完全復活への意欲を示した。

 過去にはティームと同様の理由で錦織圭も約半年間のツアー離脱を強いられたように、手首のケガは長期化しやすい傾向がある。ティームにも決して無理することなく治療とリハビリに努めてもらいたいところだ。

文●中村光佑

【PHOTO】2020全米でグランドスラム初優勝を果たした時のドミニク・ティーム厳選フォト