国内テニス

【伊達公子】若手たちが実力を付けているなかで、錦織圭は全米OP2週目に残れるのか?<SMASH>

伊達公子

2021.08.27

調子が良くドロー運に恵まれれば、全米OP2週目に行ける可能性が上がってくるという伊達公子さん。写真:塚本凛平(THE DIGEST写真部)

 来週から全米オープンが始まります。皆さんが気になるのは錦織圭選手のパフォーマンスではないでしょうか。東京オリンピック以降、好調だったにもかかわらず、ケガで前哨戦を棄権しました。

 ケガの詳細はわかりませんが、私の経験からしても調子の良い時こそケガをしやすいものです。オリンピックという大きな大会を終えて調子が上がってきていることは間違いありませんし、全米オープンの時に良いコンディションで迎えるための、プラスの判断であってほしいと願います。

 昨年ツアーに復帰した時のプレーと比較すると、明らかに試合勘は戻っているし、全体的に精度も上がっていて、プレーの質を求めているのもわかります。ポイントの駆け引きの仕方も調子がいいと良いアイデアが浮かんでくるし、やろうとすることも変わってきます。色々な戦略や戦術が見えた中で、自分がイメージしたショットを選択することができているのでしょう。

 ただ、若手選手たちが実力を伸ばしている現実もあります。正直に言うと少し前までは、その中で勝ち抜くのはちょっと厳しいかなと思っていました。でも、今のテニスであれば、少しずつ可能性が出てきたと思います。
 
 トップ20に戻ることは、相当大変なことです。今のテニスを維持して、ドロー運に恵まれて、体調とのバランスがかみ合う必要があります。コンスタントに結果を残していく中で、大きな勝利も必要です。

 テニスで大変なことは1試合ではないという点。ラウンドを重ねるごとに厳しい相手と対戦していく中で、体力も奪われていきます。パフォーマンスを上げなくてはいけない時に、どうしても下がってしまうという現実は、年齢的に避けられません。男子ツアーならなおさらです。

 グランドスラムは5セットなので、体力をセーブするところ、使うところのバランスも重要です。今はシードがついていないので、いきなり強い若手と当たった場合、ピーキングも問題でしょう。1度上がったものをさらに上げることも、1度下げてまた戻すのも難しいのです。

 今の状況で結果を出すために、ツアーの回り方は今まで以上に色々と考えていると思うので、全米オープンだけではなく今後に期待したいですね。

文●伊達公子
撮影協力/株式会社SIXINCH.ジャパン

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