海外テニス

感情を乱して敗れた大坂なおみ「子どものような態度をとってしまった」。涙ながらにツアー離脱も示唆<SMASH>

中村光佑

2021.09.04

「落ち着こうとしたが、感情を抑えられなかった」という大坂は、突如ペースを乱し、18歳の新鋭に逆転負けを喫した。(C)Getty Images

 テニスの四大大会「全米オープン」(8月30日~9月12日/アメリカ・ニューヨーク/ハードコート/グランドスラム)は、現地9月3日に女子シングルス3回戦を行ない、第3シードの大坂なおみ(世界ランク3位)は同73位のレイラ・フェルナンデス(カナダ)と対戦。7-5、6-7(2)、4-6の逆転で敗れ、大会連覇の夢を絶たれた。

 誰もが予想しなかった結末が待っていた。第1セットを先取した大坂は、第2セットでも力強いショットが冴え渡り、第12ゲームでサービング・フォー・ザ・マッチを迎えた。しかし、ここでフェルナンデスにブレークバックされると、タイブレークではミスを連発し、1セットオールとされる。迎えたファイナルセットでも第1ゲームで早々にブレークを許し、追いつくことができなかった大坂は18歳の新鋭に敗れた。

 試合中には苛立ちのあまりラケットを立て続けに投げ、観客席にボールを打ち込む場面も見られた大坂。試合後に行なわれた記者会見では「ごめんなさい。落ち着こうとしたけど、感情を抑えられなかった。順調にいかない時に、非常に気持ちが乱れてしまう。それは試合を見てもらえればわかったと思うけど、今日の試合では子どものような態度をとってしまった」と反省の言葉を口にした。

 その一方で、「(これまでは)もっと良いサービスを打つ選手に対してもいいリターンができていたし、彼女のサービスは爆弾のようではなかったし、そこまで良かったわけでもないと思う。それよりも自分のほうに問題があって、あまりいいプレーができなかった」とコメント。自身のパフォーマンスに納得がいかなかったようだ。
 
 そしてある記者から「大会前には『朝起きたらその時点で勝ちだと思っている』という新たなマインドセットを掲げていたが、今回の負けで自分の感情に何らかの変化はあるか?」と問われると、大坂は涙を流し、進行役が会見終了を促す事態に。

 これに対して大坂は「お気遣いありがとう。でも最後まで話したい」と応じ、「最近の私は、勝っても嬉しいというよりはホッとする感じ。そして、負けた時はとても悲しい気持ちになる。それって普通じゃないことだと思う。本当は(今も)泣きたくなかったんだけど」と言葉を振り絞りながら回答した。

 最後に「次にどの大会に出るかはまだ決めていない。しばらくテニスから、距離を置きたいと思う」とツアー離脱を示唆すると、ここで会見は打ち切りとなり、大坂は涙ながらに会見場を後にした。

 今年6月の全仏オープンでは大会開幕直前に突如記者会見ボイコットを宣言し、同時に2018年の全米オープン優勝後から心の病に悩まされていたことを明かした大坂。たとえ時間がかかったとしても、まずはメンタルの不調の改善に努める必要があるだろう。

文●中村光佑

【PHOTO】全米オープン2021での大坂なおみのプレー集
 
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