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国内テニス

【伊達公子】テニス選手の過酷な“日常“。勝ち続けるためには、迷っている暇はない<SMASH>

伊達公子

2021.09.10

迷いが生じるのが最もよくないことだという伊達公子さん。写真:塚本凛平(THE DIGEST写真部)

迷いが生じるのが最もよくないことだという伊達公子さん。写真:塚本凛平(THE DIGEST写真部)

 グランドスラムに優勝した場合は、母国に戻って一息つくこともあるかもしれませんが、テニスではツアー優勝だと余韻に浸っている暇はありません。日曜日に優勝しても、月曜日には別の場所で大会があり、そこには戦闘態勢の人たちがすでにいます。強制的に喜びに浸っている場合ではなくなります。

 ただ、環境は変わります。大坂なおみ選手もそうですが、グランドスラムで活躍している選手はメディア対応に時間をさかれますし、練習をしていても見る人が増えて、見せる練習になることもあります。

 頑張り過ぎてしまったり、やりたいと思っていたことができなかったり。思うようにならない時間が少しずつ出てきて、そういう積み重ねがプレッシャーになる場合もあるでしょう。

 あと、選手によりますが強い相手の方がノンプレッシャーでパフォーマンスが出せるタイプがいます。そういう選手が次々に挑んでくる状況にもなるわけです。調子が良い時なら受け止める心の余裕がありますが、不安要素が少しでもあると許容範囲が小さくなります。強くなれば環境も変わるので、それに対応できるかは重要な点です。
 
 一番望ましくないのは、迷いが生じてしまうこと。何かの課題に取り組んでいる時、1日にして手に入れられるものではありません。過程をちゃんと理解しておくことです。試合ではまだ使えない、練習試合で失敗してもいいから使う、そろそろ試合でも使えるなど、自分がどの段階にいるのか、選手自身も把握しておく必要があります。

 理解しておかないと、「練習ではできたのに試合になるとできない」など無駄に不安になる事態も起こりえます。コートでは1人なので、それを試すべきか否かがわからないと、迷ってしまいうまくいきません。迷いなく取り組んでいることに挑戦し続けることが、研究されても勝てることにつながっていくのです。

 さて、全米オープンも終わりに近づいてきました。ジョコビッチは年間グランドスラム達成のチャンスがあります。彼のすごいところは、伸び盛りの時ではなく、1度頂点に立った後、少し期間を置いて再びこの位置に来ていることです。勝つことへの執着心はすごいですね。残りの試合を見守りたいと思います。

文●伊達公子
撮影協力/株式会社SIXINCH.ジャパン

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