海外テニス

「プレーできたことが幸せだった」フェデラーが負傷により終戦を迎えた2021年を振り返る<SMASH>

中村光佑

2021.10.01

ヒザの治療のため2021年シーズン終了を宣言していたフェデラーがインタビューで想いを口にした。(C)Getty Images

 右ヒザのケガを理由に長期の戦線離脱を強いられている男子テニス世界ランク9位のロジャー・フェデラー(スイス)が、アメリカのカルチャー雑誌『GQ』のインタビューに応じ、今シーズンを振り返った。

 2020年に2度の右ヒザ手術を経て、今年3月のカタール・オープンで約14か月ぶりにツアー復帰を果たしたフェデラー。6月の全仏オープンではベスト16へ進出するなど、着々と完全復活への歩みを進めていた。

 ところが、グラスコートシーズンでケガが悪化したため、7月のウインブルドン準々決勝敗退直後に再手術を決行。出場を予定していた今夏の東京オリンピックも欠場し、8月半ばには自身のSNSで「何か月もツアーから離れることになる」と発表していた。

 理想のカムバックを遂げることができていないだけに、フェデラー自身も「もっと良い状態で試合に臨みたかった」とどこかもどかしさを隠せない様子。その一方で40歳のレジェンドは「(今年は)プレーできたことがとても幸せだった」とも語り、コートに戻ってこられたことへの喜びを実感したという。

「実際、プレーできたことにとても感謝しているし、とても幸せだったよ。この1年半は、本当にタフだった。昨年受けた両ヒザの手術も大変だったし、リハビリにも時間がかかったんだ」
 
 また、過去に8度の優勝を誇るウインブルドンで苦しみながらベスト8へ勝ち進んだことについても「満足している」とコメント。中でも会場のファンからの盛大な声援は忘れられない思い出となったようで、「今年のウインブルドンで受けたスタンディングオベーションは、確かに特別なものだった。(準々決勝で敗れて)コートを出たときに、観客の愛とサポートを感じたよ」と感謝の言葉も口にした。

 最近のインタビューでは「リハビリも一歩一歩進んでいる。最悪の事態は過ぎ去ったし、これから起こるすべてのことを楽しみにしているよ」と右ヒザの順調な回復ぶりをアピールしていたフェデラー。

 それでも「かつてのようにジャンプとランニングを同時に行なうのではなく、どちらかを選択する必要がある。もっと自分の身体の声に耳を傾け、発されるサインに気を配らなければならない」と慎重にツアー復帰を目指す考えを示した。

 おそらく大多数のテニスファンが長らくテニス界を席巻してきたフェデラーの復活を心待ちにしていることだろう。だが、まずは決して無理することなく治療とリハビリを進めてもらいたいところだ。

文●中村光佑

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