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海外テニス

敗戦後に届く“死の脅迫メッセージ”に女子テニス元世界7位が「許されることではない」と対策要求!<SMASH>

中村光佑

2021.10.02

SNSを通じて続々と届く脅迫メッセージに対して、被害者の一人でもあるマディソン・キーズ(写真)が対策の必要性を訴えた。(C)Getty Images

SNSを通じて続々と届く脅迫メッセージに対して、被害者の一人でもあるマディソン・キーズ(写真)が対策の必要性を訴えた。(C)Getty Images

 女子テニス元世界7位のマディソン・キーズ(アメリカ/48位)が、近年テニス界でも大きな問題となっている選手への誹謗中傷に対して十分な対策が講じられていないことへの不満をあらわにした。

 SNSの急速な普及により、選手が心ない言葉を浴びてしまうケースが増えている。先の全米オープンでは、女子シングルス4回戦でシェルビー・ロジャーズ(アメリカ/45位)が18歳のエマ・ラドゥカヌ(イギリス/23位)に敗れた直後に「今日負けたことで、(SNSで)900万人から死の脅迫メッセージが寄せられるだろう」とコメント。

 さらに、同大会の3回戦でアンジェリーク・ケルバー(ドイツ/14位)に逆転で敗れた同郷のスローン・スティーブンス(アメリカ/63位)も、自身のインスタグラムのストーリーで試合終了後に2000件を超える侮辱的なメッセージを受け取ったことを明かしていた。

 このような状況を見かねたキーズは日本時間9月30日の未明に自身の公式ツイッター(@Madison_Keys)を更新。とりわけ試合で敗れた場合の誹謗中傷が後を絶たない中、すべての選手が常に勝ち続けられるわけではないことへの理解を求めた。

「どの試合にも勝てるわけではない。ケガをすることだってある。悪い日もあれば、そうでない日もあるし、思ったようにいかない時もある。でも、私は応援してくれる優しいたくさんの素晴らしい人たちとつながっていて、それが私を幸せにしてくれる」

 その後キーズは「最近、私のインスタグラムを見た人は、ソーシャルメディアプラットフォームがダイレクトメッセージにひどい罵詈雑言を入れないように働きかけてくれないことに対して、私がどれだけ不満を感じているかを知っていると思う。選手の調子が最悪の日であっても死の脅しを受けるのは、許されることではない」と誹謗中傷への対策強化を訴えた。
 
『ロイター通信』によると、WTA(女子テニス協会)は誹謗中傷問題に対処する目的で積極的な対応策を編成しており、その中には選手がオンラインでの脅迫メッセージに遭遇した際のサポートを専門とするソーシャルメディアプラットフォームとの提携も含まれているという。

 さらにWTAは「ソーシャルメディアのプラットフォームと協力して、必要に応じてアカウントを停止し、場合によっては地元当局に通知する」との公式声明も発表したものの、依然として課題は山積みだ。

「誹謗中傷が嫌ならSNSをやめるべきではないか」という声も多いが、今やソーシャルメディアは選手自身のブランディングを強化するための大事なツールでもあり、そう単純な話ではない。だからこそテニスに限らずスポーツ界全体で議論を深め、誹謗中傷問題に立ち向かう必要があるだろう。

文●中村光佑

【写真】全米オープン2021で躍動したロジャースら世界のトップ女子選手たち
 

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