深いボールで相手を後方に押し込んで、ドロップショットをするりと落とす。強打を誇る岡村恭香を揺さぶっては、時にミスを誘い、時に自ら小気味の良いショットを叩き込んだ。
20歳の坂詰姫野が、メリハリの利いたテニスで第1シードを堂々突破した。それも、6-2、6-0という圧巻のスコアである。
17歳でプロに転向した坂詰は、跳ねるように早いタイミングでボールをとらえ、自ら攻めるテニスが持ち味。早くから一般の大会に参戦し、国内大会では次々に戦果もあげていった。
そんな坂詰が今季序盤、“世界の壁”にぶち当たる。挑んだのは、キャリアで初めて戦う赤土の舞台。ITF$15000大会に3週連続で出場したが、その全てで予選敗退を喫した。
コロナ禍の影響で開催大会が少ないため、例年に比べ、はるかに参戦選手のランキングが高くなった事情はある。ただそれ以上に本人が痛感したのは、欧州勢のプレーの多彩さ。そして、基本のショットの質の高さだった。
「ヨーロッパの選手はスライスやドロップがうまく、技術の高さもある。ただ普通のボールの質が高く、打ち合っていても押される場面が多かった」
自分の積み上げてきたものが、打ち砕かれるような衝撃。それでも彼女は厳しい現実と向き合い、新たなテニスを組み立てていった。
「ただ打ち合うだけでは、パワーで負けてしまう。そんな相手には、前に出たり緩急をつけたりするプレーが必要だと、コーチとも話し合いました」
坂詰に道筋を示したコーチとは、元WTAランキング52位の吉田友佳。選手としてはもちろん、フェドカップ日本代表の監督を務めるなど、指導者としての経験も豊富な“世界を知る人物”である。
今季の成長を象徴するかのようなこの日の勝利に、坂詰は「もちろん嬉しい」と言うも、表情にゆるみはない。
「目指しているのは優勝なので、気を引き締めていきたい」
表情豊かな大きな目は、進む先を見定めている。
■女子シングルス3回戦の結果(11月3日)
坂詰姫野(橋本総業ホールディングス)[16] 6-2 6-0 岡村恭香(橋本総業ホールディングス)[1]
※所属の後の数字はシード
取材・文●内田暁
【PHOTO】昨年の全日本選手権ファイナルを厳選写真で振り返り!
20歳の坂詰姫野が、メリハリの利いたテニスで第1シードを堂々突破した。それも、6-2、6-0という圧巻のスコアである。
17歳でプロに転向した坂詰は、跳ねるように早いタイミングでボールをとらえ、自ら攻めるテニスが持ち味。早くから一般の大会に参戦し、国内大会では次々に戦果もあげていった。
そんな坂詰が今季序盤、“世界の壁”にぶち当たる。挑んだのは、キャリアで初めて戦う赤土の舞台。ITF$15000大会に3週連続で出場したが、その全てで予選敗退を喫した。
コロナ禍の影響で開催大会が少ないため、例年に比べ、はるかに参戦選手のランキングが高くなった事情はある。ただそれ以上に本人が痛感したのは、欧州勢のプレーの多彩さ。そして、基本のショットの質の高さだった。
「ヨーロッパの選手はスライスやドロップがうまく、技術の高さもある。ただ普通のボールの質が高く、打ち合っていても押される場面が多かった」
自分の積み上げてきたものが、打ち砕かれるような衝撃。それでも彼女は厳しい現実と向き合い、新たなテニスを組み立てていった。
「ただ打ち合うだけでは、パワーで負けてしまう。そんな相手には、前に出たり緩急をつけたりするプレーが必要だと、コーチとも話し合いました」
坂詰に道筋を示したコーチとは、元WTAランキング52位の吉田友佳。選手としてはもちろん、フェドカップ日本代表の監督を務めるなど、指導者としての経験も豊富な“世界を知る人物”である。
今季の成長を象徴するかのようなこの日の勝利に、坂詰は「もちろん嬉しい」と言うも、表情にゆるみはない。
「目指しているのは優勝なので、気を引き締めていきたい」
表情豊かな大きな目は、進む先を見定めている。
■女子シングルス3回戦の結果(11月3日)
坂詰姫野(橋本総業ホールディングス)[16] 6-2 6-0 岡村恭香(橋本総業ホールディングス)[1]
※所属の後の数字はシード
取材・文●内田暁
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