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国内テニス

【全日本テニス選手権】坂詰姫野が第1シード圧倒で8強入り!屈辱を糧に成長した20歳「目指しているのは優勝」<SMASH>

内田暁

2021.11.04

屈辱の海外遠征を機に新たなテニスに取り組む坂詰姫野は全日本の頂点を見据えている。写真提供:齋藤宣孝(関西テニス協会)

屈辱の海外遠征を機に新たなテニスに取り組む坂詰姫野は全日本の頂点を見据えている。写真提供:齋藤宣孝(関西テニス協会)

 深いボールで相手を後方に押し込んで、ドロップショットをするりと落とす。強打を誇る岡村恭香を揺さぶっては、時にミスを誘い、時に自ら小気味の良いショットを叩き込んだ。

 20歳の坂詰姫野が、メリハリの利いたテニスで第1シードを堂々突破した。それも、6-2、6-0という圧巻のスコアである。

 17歳でプロに転向した坂詰は、跳ねるように早いタイミングでボールをとらえ、自ら攻めるテニスが持ち味。早くから一般の大会に参戦し、国内大会では次々に戦果もあげていった。
 
 そんな坂詰が今季序盤、“世界の壁”にぶち当たる。挑んだのは、キャリアで初めて戦う赤土の舞台。ITF$15000大会に3週連続で出場したが、その全てで予選敗退を喫した。

 コロナ禍の影響で開催大会が少ないため、例年に比べ、はるかに参戦選手のランキングが高くなった事情はある。ただそれ以上に本人が痛感したのは、欧州勢のプレーの多彩さ。そして、基本のショットの質の高さだった。

「ヨーロッパの選手はスライスやドロップがうまく、技術の高さもある。ただ普通のボールの質が高く、打ち合っていても押される場面が多かった」

 自分の積み上げてきたものが、打ち砕かれるような衝撃。それでも彼女は厳しい現実と向き合い、新たなテニスを組み立てていった。
 
「ただ打ち合うだけでは、パワーで負けてしまう。そんな相手には、前に出たり緩急をつけたりするプレーが必要だと、コーチとも話し合いました」

 坂詰に道筋を示したコーチとは、元WTAランキング52位の吉田友佳。選手としてはもちろん、フェドカップ日本代表の監督を務めるなど、指導者としての経験も豊富な“世界を知る人物”である。

 今季の成長を象徴するかのようなこの日の勝利に、坂詰は「もちろん嬉しい」と言うも、表情にゆるみはない。

「目指しているのは優勝なので、気を引き締めていきたい」

 表情豊かな大きな目は、進む先を見定めている。

■女子シングルス3回戦の結果(11月3日)
坂詰姫野(橋本総業ホールディングス)[16] 6-2 6-0 岡村恭香(橋本総業ホールディングス)[1] 
※所属の後の数字はシード

取材・文●内田暁

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