海外テニス

全豪出場が絶望的となったフェデラーが復帰への見通しを語る「時間がかかることはわかっていた。焦りたくはない」<SMASH>

中村光佑

2021.11.23

「問題なく歩けている」と現状を語るフェデラーだが、「復帰には時間がかかる」とも認める。焦らずリハビリを続ける構えだ。(C)Getty Images

 右ヒザのケガで長らく戦列を離れているテニス界のレジェンド、ロジャー・フェデラー(スイス/世界ランク16位)がイタリアのスポーツメディア『Sky Sport Italy』のインタビューに登場。その中で焦ることなくツアー復帰を目指す意向を示した。

 2020年に2度の右ヒザ手術を経て、今年3月のカタール・オープンで約14か月ぶりにツアー復帰を果たしたフェデラー。だが、グラスコートシーズンでケガが再発し、今年7月のウインブルドン準々決勝でフベルト・フルカチュ(ポーランド/9位)に敗退した直後、再手術を決行。以降の出場を予定していた大会は全て取りやめ、8月半ばには自身のSNSで「何か月もツアーから離れる」と発表していた。

 以前には「最悪の事態は過ぎ去った」と順調な回復ぶりをアピールしていたフェデラーだったが、ツアー復帰への道のりはいまだ非常に厳しいものだという。さらにコーチとして16年から約5年間にわたりフェデラーを指導してきたイワン・リュビチッチ氏も「現時点で来年1月の全豪オープンの出場は現実的なものではない。彼(フェデラー)はもう40歳で、以前のように早く回復することはできないんだ」とコメントしていた。
 
 今回のインタビューの中で「今はリハビリに専念していて、問題なく歩けている」と現状を明かしたフェデラーは「復帰までに時間はかかるだろうね。少し悲しくて残念だけど」と苦しい胸の内も吐露。だが、苦境に立たされる中でもグランドスラム20度の優勝を誇る40歳は「とにかくコートに戻りたい。それが僕の心の声なんだ」と完全復活への情熱を失ってはいないようだ。

 その一方でフェデラーは復帰を急がず、まずはできる限り身体を100%の状態へ近づけることに専念するとしている。

「回復に時間がかかることはわかっていたし、手術の結果がどうなるかということも予想できていた。僕の望みは最高のレベルでテニスを続けることだが、一歩一歩進んでいかなければならない。40歳や41歳、42歳でコートに戻ってもあまり変わらないし、最も重要なのはとにかく復帰することだから、焦りたくはない」

 どんな偉大な選手であっても、年齢が大きな壁として立ちはだかることは避けられないものだ。それでも常に周囲の予想を覆してきたフェデラーは、再びグランドスラムの舞台に立つ日を明確に頭の中に描いている。

文●中村光佑

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