海外テニス

きっかけはチチパス?ATPが遅延行為を防ぐトイレ休憩の新ルールを来シーズンから適用<SMASH>

中村光佑

2021.11.24

8月のシンシナティ準決勝がこの問題の発端となった。ズベレフ(左)はチチパス(右)の長いトイレ休憩や、その間のコーチング疑惑について激しい抗議を展開した。(C)Getty Images

 男子テニスツアーを管轄するATPが、2022年シーズンからグランドスラム以外の全てのトーナメントで試合中のトイレ休憩に時間制限を設けると正式に発表した。

 ATPによると、新ルール下でのトイレ休憩は最大でも3分となり、選手がトイレに入った瞬間から時間を計り始めるという。ウェアの着替えについては別に2分が与えられるものの、主審の許可がない限りはトイレ休憩と同時に行なわれなければならない。なお、トイレ休憩を取れるのはセット間だけで、1試合につき1度のみ。時間内にコートに戻ってこない場合はタイムバイオレーションが与えられる。

 また、ATPはこれまで治療箇所1か所につき3分と設定されていたメディカルタイムアウトにもルール変更を加えると表明。申請できるのはチェンジエンドまたはセット間だけで、1試合につき1回3分に制限されることとなった。
 
 この背景には男子テニスのステファノス・チチパス(ギリシャ/世界ランク4位)が度々長時間のトイレットブレークを取り、多くの選手から非難の声を浴びたことが関係している。8月のシンシナティ大会準決勝では、アレクサンダー・ズベレフ(ドイツ/3位)がチチパスのトイレットブレークの長さと、携帯電話でのコーチング疑惑について問題提起。

 9月の全米オープン1回戦では、元世界王者のアンディ・マリー(イギリス/134位)がチチパスと対戦。ファイナルセット開始直前にチチパスが7分以上もトイレから戻ってこないことについて主審に猛抗議。結果的に敗れたマリーは試合後の会見で「彼への敬意を失ってしまった」と遅延行為に及んだチチパスを痛烈に批判していた。

 他にも試合の流れを変えるために選手が意図的に長時間のトイレットブレークやメディカルタイムアウトを使うケースがあったため、ATPは改革に踏み切ったようだ。ただ、メディカルタイムアウトについては新ルールの適用開始時期が決まっておらず、また突然の体調不良に見舞われた場合の措置などについても明らかになっていない。今後の動向になお注目だ。

文●中村光佑

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【動画】物議を醸したシンシナティでのチチパスvsズベレフ戦トラブルシーン