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国内テニス

「自分に一番価値がある時にやる」西岡良仁が現役中にジュニア大会を開催する意図<SMASH>

内田暁

2021.12.09

西岡良仁はプロを目指すジュニアたちに、ツアーレベルで戦う自身の経験を伝えたいと考えている。写真:本人提供/左、(C)Getty Images/右

西岡良仁はプロを目指すジュニアたちに、ツアーレベルで戦う自身の経験を伝えたいと考えている。写真:本人提供/左、(C)Getty Images/右

「僕にとっても一つ成長できるものであり、参加選手には、将来の糧になるような大会にしていきたい」。ことの起点にあったのは、自身の経験に根差した、そんな純粋な想いだという。

 プロテニスプレーヤーの西岡良仁が、自ら主宰するジュニア(16歳以下)対象の大会。日本テニス界の未来を担う者たちに、世界へと羽ばたく機会を与えたい。自分の経験や考えを、なんとか後進たちに伝えたい――。そのための舞台こそが、12月11日~12日に開催される、彼のニックネームを冠した“Yoshi‘s Cup”だ。
 
 現在26歳の西岡は、長くトップ100に定着し、今年の東京オリンピックにも出場した現役選手。前十字靭帯損傷の大けがを乗り越え、心技体に経験が加味されたこの先で、さらなる飛躍を狙っている。

 そんな彼のオフコートの活動に対し、「引退してからやればいい」という声もある。だが本人は、「僕は、今しかないって思っている」と断言した。

「現役選手が発する言葉だから、ジュニア選手も耳を傾けてくれると思う。今という、自分に一番価値がある時にやることが、一緒に仕事をする人にも聞く人にもメリットはあると思います」
 
 それだけの覚悟と目的意識を持ち、西岡はこの大会設立に取り組んできた。もっとも世界に目を向ければ、現役選手が大きなツアー大会のトーナメントディレクターを務める事例も少なくない。世界を知る西岡だからこそ、自然と生まれた発想だとも言えるだろう。

 そのYoshi’s Cupの革新性は、一つには、選手に賞金が出る点だ。優勝者には最大100万円。そして西岡が大会でのプレーを見て選出した一名には、最高で50万円が与えられる。それら賞金の財源は、大会スポンサーとクラウドファンディングだ。

 賞金の使い道に関しては、特別な制約は設けない。ここにも西岡の、ジュニア選手には“プロ予備軍”として、お金の使い方や重要性を知って欲しいとの意図が込められている。

 もちろんそれらのお金は、クラウドファンディングに賛同したファンやスポンサーが、彼らの将来に投じる希望だ。だからこそ西岡は、「お金の出どころなども伝えた上で、選手にはどう使うか考えて欲しい」と言った。今大会では大会初日の夜に、参戦選手とその保護者に向けて、西岡本人がセミナーを行なう予定でもいる。
 
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