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国内テニス

【伊達公子】オフシーズンの過ごし方は1つではない。模索して試みることの繰り返し<SMASH>

伊達公子

2021.12.10

ベストなオフシーズンの過ごし方を模索してきた伊達公子さん。「答えは1つではありません」と言う。写真:塚本凛平(THE DIGEST写真部)

ベストなオフシーズンの過ごし方を模索してきた伊達公子さん。「答えは1つではありません」と言う。写真:塚本凛平(THE DIGEST写真部)

 女子テニスツアーの場合、シーズンが11月中旬に終わります。男子ツアーは11月、デ杯は12月5日まで行ないます。そして、男女とも12月のクリスマス前には新シーズンのために出発しなくてはいけません。

 このオフシーズンの短さは、フィジカル的にもメンタル的にも決して良くないと思います。でも、選手のキャリアは伸びているので不思議ですが……。

 加えて、オフシーズンの期間はランキングによって変わります。私のファーストキャリアの時は、全米オープンが終わったら(※当時は9月中旬に大会が終了)オフシーズンに入っていました(笑)。昔はその時期の大会は、ヨーロッパのインドアだけでしたし、ランキングシステムも違ったのと、私は年間の大会数がそれほど多くなかったので、2、3か月オフシーズンがありました。

 セカンドキャリアの時は、シーズン終盤まで出ていました。男女ともツアー大会が終わっても、下部大会は行なわれています。そのため、ディフェンドするポイントや、どの時期にはどのランキングにいたいとか、ポイントを取っておかないと後で苦しむと思ったら、オフの期間が短くなっても出ましたね。

 グランドスラムに出場する選手が出ていない時期の大会の方が、ランキングを上げる可能性は高くなります。私はその時期に勝つことが多く、ディフェンドするポイントが多かったので、そのパターンから逃れられなくなりました。

 そのため、ある年は32大会に出場し、オフがたった2日ということもありました。当時は「もう、突っ走るしかない。休んだ方が疲れが出る」と思うようになっていました(笑)。
 
 時差の調整をしながら短い期間で海外から帰ってまた出発するよりも、現地で1週間バケーションを取った方が肉体的な負担は軽減されると思い、遠征に出たまま、テニスをしない日を作って、メリハリを付けていくようにしていました。

 つまり、オフシーズンの取り方は人それぞれということです。若い時は他の人を参考にしたり、マネしたりもして、その後は色々と自分で模索しながらやっていくようになりました。

 例えば、今も続いている断食ですが、初めて行ったのはオフシーズンでした。どんな治療をしても足のケガが直らず、息詰まっていたときに「体質改善だ!」という考えになり、ネットで探して断食に行ったんです。テニスに直接的な効果があったわけではありませんが、それぐらい模索して試みていたということです。

(日比野)菜緒ちゃんも今年断食に行きましたね。ケガが続いていたり、精神的にも疲労して、何か違うことを取り入れたかったのかもしれません。自分自身で行こうと思う、必要だと思うことが大切なことです。それが、何かを考えるきっかけや、良い刺激につながればと思います。

 結局のところ、どういうオフの取り方がベストだったのか、私にもわかりません。ただ、毎年どうすると一番効率がいいのかと色々と考えて、試しました。トレーニング期間を長くしたり、オフの期間を長くしたり……。そういうことの繰り返しです。答えは1つではありません。

文●伊達公子
撮影協力/株式会社SIXINCH.ジャパン

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