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【伊達公子】2022年期待の選手は?現実的な望月慎太郎とツアーデビューを果たした本玉真唯<SMASH>

伊達公子

2021.12.31

望月は進むべき道がしっかりと見えていると感じたと言う伊達公子さん。写真:塚本凛平(THE DIGEST写真部)

 2021年も最後の日となりました。今回は2022年に期待したい日本人テニス選手を取り上げようと思います。

 男子では2021年11月にプロ転向した18歳の望月慎太郎選手。実はWOWOWさんの企画で対談をしました。その時に「焦らず1年以内に(グランドスラム)予選に出られたらいいな」と、結構現実的なことを話してくれました。

 プロになった時は、皆からも注目され、大きな目標を言いがちです。そんな中で冷静に話していた言葉に、地に足が付いている印象を受けました。だからこそ有言実行しそうな感じがしています。

 話してみると、思った以上に明るかったですね(笑)。そして、受け答えもしっかりとしていて、浮かれた感じがまったくありませんでした。対談で表面的なことはいくらでも言えるでしょうが、そういう言葉は一切出てこなかったですね。自分の進むべき道がきっちりと見えているのだと感じました。

 18歳なので、まだ身体の線は細いです。そう簡単ではありませんが、より早く強いフィジカルを作れたら、タフなグランドスラムで戦っている姿を見られる日がそう遠くないのではないかと思います。
 
 女子では本玉真唯選手。最近なかなか若手が出てこない中、やっと少し兆しがみえる選手が登場しました。現在、150位なので、100位に入るかは大きなチャレンジになります。そこに食い込んでくれるかどうかです。

 100位に入り、もっと上に行くためには、はっきりとした武器が必要になってきます。日本人は特に武器を作り出すのは難しいですが、それができると戦い方も変わってくると思います。

 コーチの(神尾)米ちゃんは結構厳しいですからね。意外と私より厳しいと思いますよ(笑)。芯があって譲らないところは譲らない。表情は優しく、でもやることや伝えることは妥協をせず意志を通すことができるタイプです。プライベートコーチの立場の今だと、もっとそういう面が出てくるでしょう。

 グランドスラムで戦っていくとなると、技術とかフォームではない部分でも、もがくことがたくさん増えてきます。ツアーの転戦でも、1試合の中においても、そういう場面に直面します。米ちゃんや私のように世界を見てきているからこそ、様々な気付きを伝えることができます。

 簡単に言えば、試合で良いパフォーマンスを出すために、練習や普段の生活でするべきことがわかっていて、試合の中で感じているたくさんのことをいかに練習の時にも強いイメージを持って取り組めるか。そこがリンクさせやすい。だからこそ、本玉選手も米ちゃんの言葉の重みを感じているでしょうし、吸収できることはたくさんあると思います。

文●伊達公子
撮影協力/株式会社SIXINCH.ジャパン

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