男子テニス界に君臨していきた「ビッグ3」(ジョコビッチ、ナダル、フェデラー)の牙城を脅かす存在、それが次代のエース候補「ネクストキング」である。その代表格ともいえるのが、ダニール・メドベージェフ、アレクサンダー・ズベレフ、ステファノス・チチパスの3人だ。
そこでテニス専門誌『スマッシュ』では、元デビスカップ代表で現役引退後は五輪・デ杯・フェド杯のコーチを歴任した丸山薫氏に「ネクストキング」たちの“スゴ技”(すごい技)について解説してもらった。今回は東京五輪金メダリストでツアー通算19勝を誇るアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ/世界3位/24歳)だ。
2020年の全米オープンで初めてグランドスラム決勝進出を果たしたが、フルセットにもつれ込む大接戦の末に敗れてタイトルを逃したズベレフ。あの敗戦が彼を強くしたといえるだろう。
例えば、最近では「1ポイントを大切にする」という姿勢が出てきた。以前ならば怒りに任せてラケットを破壊するような場面に遭遇しても、現在は我慢することで冷静さを取り戻しプレーできるようになった。それは彼のなかで「勝利」への執念が強まったからだろう。
テニスに関するスキルは世界屈指のレベルにある。自分でもそれは感じているはずだ。なぜなら調子がよければ、あの絶対王者ジョコビッチにさえも勝てる力があるからだ。東京五輪準決勝戦はそうした試合のひとつだった。
メドベージェフが着々と順位を上げ、チチパスが急激な成長曲線を描いているが、ズベレフからはそれ以上の才能が感じられる。
そうした彼の能力の高さが垣間見えるのがサービスだ。一時はセカンドサービスが安定しなかったが、現在はそれも修正され高速サービスを相手コートに叩き込んでいる。その流れるようなフォームには、様々なパワーを生み出す動きが隠れている。
その一つが柔軟性に富んだ身体を駆使してサービスに必要なパワーを蓄積する部分だ。
まずトスを始めた段階で肩甲骨を下げだし、胸を開きながら股関節をひねっていく。これで第一段階の準備が完了。続く第二段階では、トロフィーポーズの状態からさらに股関節にひねりが加えられ完了。そしてここからひねり戻しの力を使ってインパクトへと向かう。
一度ひねって、そこからさらにひねりを加えることで反発力を高める。これはプレストレッチと呼ばれるパワーを生み出す高度な動きのひとつで、ズベレフのサービスにおける特徴的な動きでもある。
構成●スマッシュ編集部
※スマッシュ2022年1月号から抜粋・再編集
【連続写真】巧みな身体使いから生まれるズベレフの爆速サービス詳細画像
そこでテニス専門誌『スマッシュ』では、元デビスカップ代表で現役引退後は五輪・デ杯・フェド杯のコーチを歴任した丸山薫氏に「ネクストキング」たちの“スゴ技”(すごい技)について解説してもらった。今回は東京五輪金メダリストでツアー通算19勝を誇るアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ/世界3位/24歳)だ。
2020年の全米オープンで初めてグランドスラム決勝進出を果たしたが、フルセットにもつれ込む大接戦の末に敗れてタイトルを逃したズベレフ。あの敗戦が彼を強くしたといえるだろう。
例えば、最近では「1ポイントを大切にする」という姿勢が出てきた。以前ならば怒りに任せてラケットを破壊するような場面に遭遇しても、現在は我慢することで冷静さを取り戻しプレーできるようになった。それは彼のなかで「勝利」への執念が強まったからだろう。
テニスに関するスキルは世界屈指のレベルにある。自分でもそれは感じているはずだ。なぜなら調子がよければ、あの絶対王者ジョコビッチにさえも勝てる力があるからだ。東京五輪準決勝戦はそうした試合のひとつだった。
メドベージェフが着々と順位を上げ、チチパスが急激な成長曲線を描いているが、ズベレフからはそれ以上の才能が感じられる。
そうした彼の能力の高さが垣間見えるのがサービスだ。一時はセカンドサービスが安定しなかったが、現在はそれも修正され高速サービスを相手コートに叩き込んでいる。その流れるようなフォームには、様々なパワーを生み出す動きが隠れている。
その一つが柔軟性に富んだ身体を駆使してサービスに必要なパワーを蓄積する部分だ。
まずトスを始めた段階で肩甲骨を下げだし、胸を開きながら股関節をひねっていく。これで第一段階の準備が完了。続く第二段階では、トロフィーポーズの状態からさらに股関節にひねりが加えられ完了。そしてここからひねり戻しの力を使ってインパクトへと向かう。
一度ひねって、そこからさらにひねりを加えることで反発力を高める。これはプレストレッチと呼ばれるパワーを生み出す高度な動きのひとつで、ズベレフのサービスにおける特徴的な動きでもある。
構成●スマッシュ編集部
※スマッシュ2022年1月号から抜粋・再編集
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