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海外テニス

メンタルヘルス問題に記録づくめの10代対決、中国選手の失踪騒動――2021年テニス界5大ニュース

THE DIGEST編集部

2021.12.31

数多くの話題が飛び交った2021年のテニス界を“5大ニュース”で振り返る。(C)Getty Images

数多くの話題が飛び交った2021年のテニス界を“5大ニュース”で振り返る。(C)Getty Images

 この1年もテニス界にさまざまなニュースが飛び交ったが、今回はそのなかで強いインパクトを残した“5大トピック”にクローズップ。来季の開幕を前に、2021年シーズンを振り返ってみる。

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◆メンタルヘルス問題に一石を投じた大坂なおみ

 今年を語るうえで外せないトピックのひとつに、アスリートの“メンタルヘルス問題”がある。その流れを作るきっかけとなったのが、6月の全仏オープンで「人々がアスリートのメンタルヘルスについてあまり考えていない」と指摘し、記者会見をボイコットした大坂なおみだ。

 2月には全豪オープンで4度目のグランドスラム優勝を果たし、幸先よくシーズン発進を決めていた大坂。しかし全仏開幕直前に「負けた選手をあのような場で問い詰めるのは、落ち込んでいる人を蹴落とすようなもの」と記者たちへ苦言を呈すと、これが物議を醸し、自ら2回戦を棄権するという想定外の騒動にまで発展した。

 さらに、SNSでは約3年にわたってうつ状態に苦しめられていることを明かし、ウィンブルドンの欠場を発表。その後、体操女子のシモーネ・バイルズ(アメリカ)が五輪を棄権し、NFLのレーン・ジョンソン(フィラデルフィア・イーグルス)らもメンタル不調で離脱するなど、この一連の騒動がスポーツ界に与えた影響は計り知れない。

 これまでにも、黒人差別反対運動「ブラック・ライブズ・マター」に賛同するなど、社会に対して積極的な問題提起を続けてきた大坂。1月には初のグランドスラム2連覇がかかる全豪オープンを控えており、その言動とともに注目が寄せられる。
 
◆57年ぶりの東京五輪開催

 新型コロナウイルスの感染再拡大が危ぶまれるなか、7月には東京五輪が異例の無観客開催を迎えた。

 まず、テニス界を盛り上げたのは、競技スタート前日の開会式だ。セレモニー終盤の最終聖火ランナーに登場したのは、なんと大坂。見事に大役を務め上げ、それから一夜明けたSNSでは「間違いなくこれまでに経験したことのない最も偉大なスポーツの名誉と成果です」と心境を記していた。

 そして競技がスタートすると、男女ともに波乱の展開が続いた。女子シングルス世界1位のアシュリー・バーティー(オーストラリア)が初戦敗退を喫し、大坂も3回戦でストレート負け。男子も金メダル最有力のノバク・ジョコビッチ(セルビア)が表彰台からこぼれ落ちた。

 最終的に頂点に駆け上がったのは、女子がベリンダ・ベンチッチ(スイス)、男子がアレクサンダー・ズべレフ(ドイツ)だ。ともにジュニア時代からの期待どおり着実な成長を見せていた24歳だが、ここにきてついにビッグタイトル獲得となり、来年のグランドスラム初優勝も十分視野に入ってくるだろう。

◆全米オープン女子決勝で22年ぶりの10代対決

 一体誰がこのカードを予想できただろうか。9月に行なわれた全米オープンの女子シングルスで決勝まで勝ち上がってきたのは、18歳で150位のエマ・ラドゥカヌ(イギリス)と、19歳で73位のレイラ・フェルナンデス(カナダ)だった。

 このフレッシュな対決を制したのは、年下のラドゥカヌだ。同大会では予選3試合を含め、全10試合でストレート勝ち。予選出場からのグランドスラム制覇は男女を通じて史上初の快挙であり、グランドスラム本戦2大会目での優勝もオープン化以降で最短の記録となった。

 一方のフェルナンデスは、ディフェンディングチャンピオンの大坂を含む、3人のトップ10プレーヤーを撃破。ラドゥカヌとは対照的に3回戦から4試合連続でフルセットにもつれる接戦を制し、観るものにハートの強さを印象付けた。

 このティーンエイジャーによる快進撃は、女子テニス界に新風を巻き起こしただけでなく、多くのファンにインパクトを残したことは間違いない。まもなく開幕する2022年シーズンも彼女たちのさらなる活躍に期待したい。
 
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