女子テニス界2021年末ランキング1位になったのは、アシュリー・バーティー(オーストラリア)。20年3月以降のコロナ禍では大会に出場せず、21年からツアーに復帰すると、ウインブルドンを含む5大会で優勝した。女子では珍しいオールラウンダーである点も試合観戦を面白くしてくれる。
バーティーがよく使うバックハンドスライスについて、元日本代表コーチの丸山薫さんに解説してもらった。
* * *
オーストラリアの選手はみんなサービスが良く、166センチと小柄なバーティーも同様です。加えて、バックハンドはスピンとスライスが使えて、ネットプレーもうまい。一通りのテクニックを使ってポイントが取れるオールラウンダーで、 オーストラリアのテニスの歴史を継承しているような選手です。
両手バックハンドで強打を打つ女子選手が多い中、スライスで相手を翻弄できるバーティーは際立った存在です。
スライスを打つ時は、テイクバックを行なう時に、薄い握りのコンチネンタルグリップに変更します。そのチェンジがスムーズに行なえており、左手と右肩甲骨を使ってラケットを引いているため、テイクバックが大きく取れ、右手はリラックスできています。
テイクバックをした後は、肩を支点にスイング。ラケットを身体の内側に絞る動きを入れることでパワーアップを可能にしており、インパクトではフラット面でボールを捉えることで勢いを加えられています。
ラケットが地面から垂直なフラットの面でボールを捉えると回転がかからないと思うかもしれません。しかし、スイング軌道が上から下になっており、ラケットはボールの上から入るため、ちゃんとスライス回転はかかります。
バーティーのプレーは特殊ですが、ライバルたちはその変化のテニスに少しずつ慣れてきているでしょう。どういう状況でスライスを入れてくるかも把握し始めているはずです。
その予想の上を行くためには、オフシーズンの間に左側(バックハンド)の攻撃力を少し増してくるのではないかと思います。サービスはいいですし、より積極性が出てくれば、引き続き好結果が出せるでしょう。
取材・文●赤松恵珠子(スマッシュ編集部)
【連続写真】内側にしぼる動きでパワーアップする、バーティーのバックハンドスライス
バーティーがよく使うバックハンドスライスについて、元日本代表コーチの丸山薫さんに解説してもらった。
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オーストラリアの選手はみんなサービスが良く、166センチと小柄なバーティーも同様です。加えて、バックハンドはスピンとスライスが使えて、ネットプレーもうまい。一通りのテクニックを使ってポイントが取れるオールラウンダーで、 オーストラリアのテニスの歴史を継承しているような選手です。
両手バックハンドで強打を打つ女子選手が多い中、スライスで相手を翻弄できるバーティーは際立った存在です。
スライスを打つ時は、テイクバックを行なう時に、薄い握りのコンチネンタルグリップに変更します。そのチェンジがスムーズに行なえており、左手と右肩甲骨を使ってラケットを引いているため、テイクバックが大きく取れ、右手はリラックスできています。
テイクバックをした後は、肩を支点にスイング。ラケットを身体の内側に絞る動きを入れることでパワーアップを可能にしており、インパクトではフラット面でボールを捉えることで勢いを加えられています。
ラケットが地面から垂直なフラットの面でボールを捉えると回転がかからないと思うかもしれません。しかし、スイング軌道が上から下になっており、ラケットはボールの上から入るため、ちゃんとスライス回転はかかります。
バーティーのプレーは特殊ですが、ライバルたちはその変化のテニスに少しずつ慣れてきているでしょう。どういう状況でスライスを入れてくるかも把握し始めているはずです。
その予想の上を行くためには、オフシーズンの間に左側(バックハンド)の攻撃力を少し増してくるのではないかと思います。サービスはいいですし、より積極性が出てくれば、引き続き好結果が出せるでしょう。
取材・文●赤松恵珠子(スマッシュ編集部)
【連続写真】内側にしぼる動きでパワーアップする、バーティーのバックハンドスライス