海外テニス

あの“犬猿の仲”の2人が入国騒動を機に急接近?キリオスがジョコビッチに「ダブルスを組もうと提案したい」<SMASH>

中村光佑

2022.01.20

これまでジョコビッチ(左)を執拗に口撃してきたキリオス(右)だが、最近は仲が良くなっているとか。2人のダブルスが見られるか?(C)Getty Images

 破天荒な性格と自由奔放な言動で人気を誇る男子テニス世界ランク115位のニック・キリオス(オーストラリア)。その彼がこのほどビザ再取り消しによりオーストラリアからの退去を命じられたノバク・ジョコビッチ(セルビア/1位)へ向けて「ダブルスを組むことを提案しようかな」と発言し、ファンの間で話題となっている。

 キリオスと言えば、これまで度々ジョコビッチを揶揄し、テニス界きっての"犬猿の仲"と称されてきたのは周知の事実だ。2020年6月にジョコビッチが母国セルビアとクロアチアで主催したエキジビジョンマッチ「アドリア・ツアー」で新型コロナウイルスのクラスターが発生した際には、「アホウドリ("悩みの種"という意味の慣用句)だ」などと世界王者を痛烈に批判。

 また、非常に厳格な新型コロナの感染拡大対策が講じられていた昨年の全豪オープンでは隔離措置の緩和を求めたジョコビッチに対し、キリオスは「愚かだ」と口撃していた。

 ところがどういう風の吹き回しなのか、今回キリオスはオーストラリア入国問題で世界各国から非難を浴びているジョコビッチを擁護する姿勢を見せているのだ。

 1月7日には自身のSNSで「ノバク(ジョコビッチ)への(母国やメディアの)対応は非常にまずい。もっといいやり方があるだろう」と投稿。さらに先日応じた母国メディアのインタビューでも「人々はノバクが自分のためだけにオーストラリアに来たと思っているが、それは違う。彼は最高レベルのテニスを披露し、それを喜んでくれる大勢のファンのためにオーストラリアに来たんだ」と主張していた。

 そして現地1月17日に行なわれた全豪オープンのシングルス1回戦を突破したキリオスは、試合後の記者会見で再びジョコビッチの豪入国騒動に言及。そのなかでこれまで取り沙汰されてきたお互いの関係性を引き合いに、次のようなコメントを残した。

「ノバクと俺は過去に行き違いがあったが、俺はそれ(ジョコビッチの入国を認めること)が正しいことだと思ったから、彼を擁護したんだ。おそらくノバクだけではなくて他の選手に対しても同じことをしただろう。いずれにせよ、今、俺たちの間に仲の良さみたいなものが生まれているのは確かだ。ノバクにはいずれどこかで一緒にダブルスを組むことを提案しようと思っている」

 あれだけ仲の悪かった2人のダブルスが実現するとなれば、大きな注目を浴びることは間違いないだろう。一連の騒動の余波が続いている今はそれどころではないが、ぜひとも近いうちにキリオスとジョコビッチが共にプレーする姿を見たいものだ。

文●中村光佑

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