海外テニス

ウクライナのスビトリーナがロシア選手との対戦を拒否し中立な立場を要請。同時に反戦を表明した選手に「敬意を表したい」<SMASH>

中村光佑

2022.03.01

当面の間はロシアとベラルーシの選手との対戦を拒否すると発表したスビトリーナ。(C)Getty Images

 ロシアによる侵攻で多くの人命が奪われている状況を受け、ウクライナテニス連盟はロシアと今回の軍事攻撃に関与しているとされるベラルーシをITF(国際テニス連盟)から排除するように求める書簡を正式に提出した。

 2月22日にはプーチン大統領が「特別作戦」を発表し、28日には核戦力部隊が戦闘態勢に入るなど、事態が悪化の一途をたどっているロシアのウクライナ侵攻。米『ワシントンポスト』紙によると、ベラルーシもロシアを支援する目的で軍隊を送り込む可能性があるのだという。

 そんな中、このほどウクライナテニス連盟のセルジ・ラグル会長は書簡で「前例のない、冷笑的で血生臭い攻撃の結果だ」として、ベラルーシとロシアに何らかの行動を起こすことをITFに要求。

 続けて「女性や子どもを含む民間人が死んでいる。民間インフラが崩壊している。これは我が国(ウクライナ)を何十年も後退させる本格的な戦争だ」と主張し、「ロシアとベラルーシは、自国の領土で国際大会を開催する権利だけでなく、海外のITFの団体・個人戦の全大会に参加する資格もない」と訴えた。
 
 また、ウクライナ国籍で紛争発生直後にSNSを通じて反戦メッセージを綴っていた女子テニスのエリーナ・スビトリーナ(世界ランク15位)も再び声を上げた。今後出場する大会での獲得賞金をウクライナ軍に寄付することも宣言している彼女は、日本時間3月1日の未明に自身の公式ツイッター(@ElinaSvitolina)を更新。1回戦でアナスタシア・ポタポワ(ロシア/115位)との対戦を予定していた「アビエルト・GNPセグロス」(2月28日~3月6日/メキシコ・モンテレイ/ハードコート/WTA250)の棄権、さらに当分の間はロシアとベラルーシの選手との対戦を拒否することを表明した。

「私たちウクライナの選手は、ATP(男子プロテニス協会)、WTA(女子テニス協会)、ITFに対し、IOC(国際オリンピック連盟)が勧告したように国のシンボルや色、国旗や国歌を一切表示せず、ロシアやベラルーシの選手を中立な立場の選手として競技に参加するよう要請しました。したがって、私は明日のモンテレイ大会でプレーすること、そして私たちが属する団体が必要な決定を下すまでは、ロシアやベラルーシの選手とのあらゆる試合もしないことを発表したいのです」

 その一方でスビトリーナは「ロシアの選手たちを責めるつもりはありません。祖国への侵攻は彼らの責任ではない。さらに私は、戦争に反対する立場を勇敢に表明したすべての選手、特にロシア人とベラルーシ人に敬意を表したいと思います。彼らのサポートは必要不可欠です」とも記している。

 スビトリーナに限らずここまで緊迫した状況の中で普段通りのプレーをするのは困難を極めるだろう。一刻も早い事態の収束を願うばかりだ。

文●中村光佑

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【画像】スビトリーナが投稿したATP・WTA・ITFへの要請と自身の決意