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国内テニス

170センチの西岡良仁がツアーで活躍できるのは、他の人にはない個性「大きなエネルギー」があったから【山中夏雄コーチ】<SMASH>

山中夏雄

2022.03.02

ウインブルドンジュニアに出場した当時17歳の西岡(左)が、ずっと優しく見守りサポートしてくれた盛田正明氏(右)とガッツリ握手。写真提供:山中夏雄

ウインブルドンジュニアに出場した当時17歳の西岡(左)が、ずっと優しく見守りサポートしてくれた盛田正明氏(右)とガッツリ握手。写真提供:山中夏雄

 錦織圭のアメリカ留学をサポートした盛田正明テニスファンド(MMTF)のコーチとして、アメリカのIMGアカデミーに常駐し、日本のジュニアたちの成長を支えている山中夏雄氏。このコラムでは日本のトッププロたちが、いかにして成長してきたのか、日米テニス界の違いなどを教えてもらう。

 今回は170センチの西岡良仁が、ATPツアーで活躍するためにしてきたこと。小柄な日本人にとっては、きっと参考になるはずだ。

―――◆―――◆―――

(西岡)良仁は、MMTFのサポートでジュニアの時にIMGアカデミーに来ましたが、実は2度選考から落ちています。選考中の試合でも全勝していましたが、小柄で一発がないからという理由です。しかし、3回目の選考で、ニック・ボロテリーが「彼はクレイジーだからやらせてみろ」という一声で合格となりました。

 ニックが言った「クレイジー」とは、人とは違うということを意味します。そしてIMGアカデミーでは、この個性をつぶさないようにしてきました。

 良仁の最大の長所は「エネルギーが大きい」ことです。プラスのエネルギーを出している時は、冷静に相手と自分を見られて、信じられないようなボールを取ったり駆け引きをしていきます。だからこそ、ビッグネームにも勝つことができるのです。
 
 ただし、そのエネルギーがマイナス方向に向かってしまった時、本人がやれることを全部やったけど、今日はどうしようもないと思った時は、試合をギブアップするような態度を取ったり、悪態をついて物に八つ当たりすることもありました。

 しかし、その態度について改めるように指導したことはありません。マイナス方向にエネルギーが向いてしまうまで、彼が120%の力で勝利に向かっていたことをわかっているからです。そして良仁は全力を出したため、言い訳はせず、誰かのせいにすることもありませんでした。「大きなエネルギー」を持っている個性をつぶさないこと、そしてポジティブな面を見て指導していたわけです。

 もっとも、IMGアカデミーには、悪童として名を馳せたマルセロ・リオスがいましたし、実はそんなリオスと似たところがあるトミー・ハースもいたため、良仁の態度はかわいいものだったと思います。

 ずっと日本にいたら、おそらく態度について注意されていたでしょう。それでも行動は変えなかったと思いますが、色々と言われる言葉が耳に入ってくると、気にはなったはずです。アメリカにいたことで、最も重要な自分のテニスに集中できたとことが良かったのだと思います。
 
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