1996年の全豪オープンファイナリストでドイツ女子テニス界を支えたレジェンドとして知られるアンケ・フーバー氏が欧米スポーツメディア『EUROSPORT』のインタビューに出演。度々問題行為で物議を醸す男子テニスのニック・キリオス(オーストラリア/世界ランク77位)を引き合いに、昨年の全米オープンで四大大会初優勝を飾った女子テニスのエマ・ラドゥカヌ(イギリス/12位/19歳)が「テニス界の発展を担う存在に適している」と私見を述べた。
トリッキーなプレーでファンを魅了している26歳のキリオスはその破天荒な性格からテニス界でも「悪童」と称されている。今年3月のBNPパリバ・オープンでは準々決勝で後に準優勝を収めたラファエル・ナダル(スペイン)に敗れると、敗戦の怒りからラケットを地面に投げつけ、それがボールボーイに当たりそうになった。キリオスはボールボーイに直接謝罪したものの、のちにATP(男子プロテニス協会)から罰金を科された。
さらにキリオスはその翌週のマイアミ・オープンでも主審と口論を繰り広げた際に暴言を吐き、2週連続で罰金の制裁を受けてしまった。ここ最近はとりわけ男子テニス界で冷静さを失ってしまった選手の問題行為が続発しているのは事実だが、プロデビューから約8年たった今でもキリオスの気性の荒さは一向に改善されないままだ。
フーバー氏はそんなキリオスについて「彼は以前のジョン・マッケンローのように、しばしば意図的にあのようなショーをやってのける。そしてそれは彼がテニス界と対話を続けるための秘策でもある」としつつも、「しかし、女子テニスにそのようなショーが見られることを望むべきかどうかはわからない。攻撃的になってはいけないし、一定の枠の中に収まっていなければならない」と主張。
その上でフーバー氏はすでにグランドスラムタイトルを獲得しているラドゥカヌが19歳とは思えない冷静なプレーを見せていることに着目し、「ラドゥカヌのような落ち着いた性格を持つ選手の方が女子テニスには適していると思う」とコメントした。ただし、フーバー氏は「ショーがある方が面白いとは思う」「感情的になるのは悪いことではない」などと、キリオスを全否定しているわけではないようだ。
ちなみにラドゥカヌは全米優勝後からなかなか思うように結果を残せず、現在も苦しい時期を過ごしている。それでもフーバー氏は悩める若きグランドスラムチャンピオンへ向けて「彼女はトップ5の選手になるための全てを備えているし、もしかしたらナンバー1にもなれるかもしれない。本当の実力を発揮して安定したプレーを見せられるようになるまで、あと1、2年は必要だろう」と期待の言葉を送った。
常に孤独な状況下で戦わなければならないテニスのメンタルコントロールは困難を極めるものだが、だからと言って危険行為に及んでいいわけではない。キリオスとラドゥカヌには共に周囲のサポートにも頼りながら、それぞれの良さを発揮し続けてもらいたいものだ。
文●中村光佑
【PHOTO】全米OP初優勝!快挙を成し遂げた18歳エマ・ラドゥカヌの2021年を特集!
トリッキーなプレーでファンを魅了している26歳のキリオスはその破天荒な性格からテニス界でも「悪童」と称されている。今年3月のBNPパリバ・オープンでは準々決勝で後に準優勝を収めたラファエル・ナダル(スペイン)に敗れると、敗戦の怒りからラケットを地面に投げつけ、それがボールボーイに当たりそうになった。キリオスはボールボーイに直接謝罪したものの、のちにATP(男子プロテニス協会)から罰金を科された。
さらにキリオスはその翌週のマイアミ・オープンでも主審と口論を繰り広げた際に暴言を吐き、2週連続で罰金の制裁を受けてしまった。ここ最近はとりわけ男子テニス界で冷静さを失ってしまった選手の問題行為が続発しているのは事実だが、プロデビューから約8年たった今でもキリオスの気性の荒さは一向に改善されないままだ。
フーバー氏はそんなキリオスについて「彼は以前のジョン・マッケンローのように、しばしば意図的にあのようなショーをやってのける。そしてそれは彼がテニス界と対話を続けるための秘策でもある」としつつも、「しかし、女子テニスにそのようなショーが見られることを望むべきかどうかはわからない。攻撃的になってはいけないし、一定の枠の中に収まっていなければならない」と主張。
その上でフーバー氏はすでにグランドスラムタイトルを獲得しているラドゥカヌが19歳とは思えない冷静なプレーを見せていることに着目し、「ラドゥカヌのような落ち着いた性格を持つ選手の方が女子テニスには適していると思う」とコメントした。ただし、フーバー氏は「ショーがある方が面白いとは思う」「感情的になるのは悪いことではない」などと、キリオスを全否定しているわけではないようだ。
ちなみにラドゥカヌは全米優勝後からなかなか思うように結果を残せず、現在も苦しい時期を過ごしている。それでもフーバー氏は悩める若きグランドスラムチャンピオンへ向けて「彼女はトップ5の選手になるための全てを備えているし、もしかしたらナンバー1にもなれるかもしれない。本当の実力を発揮して安定したプレーを見せられるようになるまで、あと1、2年は必要だろう」と期待の言葉を送った。
常に孤独な状況下で戦わなければならないテニスのメンタルコントロールは困難を極めるものだが、だからと言って危険行為に及んでいいわけではない。キリオスとラドゥカヌには共に周囲のサポートにも頼りながら、それぞれの良さを発揮し続けてもらいたいものだ。
文●中村光佑
【PHOTO】全米OP初優勝!快挙を成し遂げた18歳エマ・ラドゥカヌの2021年を特集!