国内テニス

【伊達公子】学校テニスからプロになれる可能性はある。ただし砂入り人工芝で3年間練習していては厳しい<SMASH>

伊達公子

2022.04.15

全国小学生テニス選手権の舞台として知られる第一生命相娯園テニスコートがレッドクレーにリニューアル。そのテープカットに参加した伊達公子さん(左)と錦織圭選手。写真:田中研治

 4月になり学校の部活に入ってテニスを始める人も多いのではないでしょうか? 私は学校の部活で鍛えられてプロになりましたが、現在では学校テニスからプロになる人は減ってきています。しかし、テニスキャリアも伸びている今、年齢的には高校卒業後でもプロになれると思います。

 ただし、高校3年間をどう過ごしてきたかによります。一番伸び盛りの時期に、他の選手たちが世界でもまれている中、日本で少ない練習量で満足しているようでは厳しいでしょう。そして、今の学校のサーフェスはほとんどが砂入り人工芝だという点も、プロを目指すならば問題です。

 私が常々ハードコートを推奨しているのは、ツアー大会のほとんどがハードコートとレッドクレーコートだからです。砂入り人工芝で慣れた選手が、突然他のサーフェスで良いプレーができるかと言えば無理があります。それほどサーフェスとプレーは関係しています。
 
 学校にハードコートもあって指導者もおり、しっかりと練習ができるならいいですが、砂入り人工芝しかない中でプロになりたいのであれば、週に数回、ハードコートがあるクラブで練習させてもらえる環境を作るべきです。実際、私は外部のクラブで週に1、2回練習していました。ジュニア期にハードとレッドクレーのハイブリッドで育った選手が成功しやすいという研究データも出ていますので、環境面はとても重要です。

 毎年全国小学生テニス選手権が開催される会場のサーフェスが、茶色のクレーコートからレッドクレーに今年から変わります。私はハードコートを勧めていますが、レッドクレーを否定しているわけではありません。人件費や天候のことを考えると、日本でレッドクレーを普及させるのは難しいと思ったからです。そんな中、レッドクレーのコートができるのは貴重なことです。

 小さい頃からレッドクレーで育つと、テニスを3Dで考えることができるようになります。つまり、ただショットが強い、速いというだけではなく、ゲームを組み立てるテニス脳が養われます。常にレッドクレーで練習できる選手は限られますが、小さい頃にこのサーフェスを経験しておくと、試合の運び方を考える切っ掛けになるでしょう。

文●伊達公子
撮影協力/株式会社SIXINCH.ジャパン

【PHOTO】伊達公子と錦織圭がテープカット!屋外で国内初の全仏仕様レッドクレーコートが誕生!!