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国内テニス

【伊達公子】全てに真面目に向き合おうとすると大変すぎる。それは大坂なおみの性格か、こだわりか<SMASH>

伊達公子

2022.04.01

大坂について「もう少し器用さが出てきてもいいかな」と言う伊達公子さん。写真:塚本凛平(THE DIGEST写真部)

大坂について「もう少し器用さが出てきてもいいかな」と言う伊達公子さん。写真:塚本凛平(THE DIGEST写真部)

 大坂なおみ選手が観客からのヤジでコート上で涙を流して話題になりました。自分の現役時代を振り返ると、「そこまでのヤジがあったかな?」という感じで記憶に残っていません。「応援されていないな」「相手にされていないな」というぐらいはありましたが、あまり覚えていませんね。

 100人いれば、100人全員が自分を好きなわけではありませんし、色々な応援の形もあります。耳にしてうれしくないものはたくさんありますが、それら全てに100%で対応するのは大変すぎて、自分が崩れてしまうのは仕方がないかもしれません。

 これは彼女の性格もあると思います。真面目に向き合うクセがついているのか、向き合わないといけないと思っているのか。記者会見を例にしても、全ての質問に真剣に向き合って答えようとしています。それは彼女の良さでもありますが、逆に自分を苦しめる状態に陥っている気がします。

 他の選手もそうだと思いますが、質問によって100%真面目に答えるだけでなく、あまり答えたくない質問はさらっと流したりしています。それが自分を守ることでもあり、ツアーを回り、戦ううえで必要なことの一つでもあります。ツアーでの経験も積んできているので、もう少し器用さが出てきてもいいかなと思います。変わらないでいるのは、性格なのか、こだわりなのか、その辺はわかりませんね。
 
 大坂選手はマイアミ・オープンでセラピストのアドバイスがプラスになったことを実感し、チームにセラピストを加えたい意向であると言っています。ここで大事なのは、自分に合うセラピストと出会うことです。セラピストをチームに入れたからといってすぐに全てが改善できるわけではありません。少しずつボジティブ思考になり、どんな状況が起ころうとどう対処すべきなのかが見えてくるのではないでしょうか。

 インディアンウェルズのヤジについては、試合序盤の出来事で難しいとは思いますが、結局テニスの試合はコートに入ったらボールと戦わないといけないということです。これはコーチに言われた言葉で、私は常にそう心掛けてきました。

 テニスの試合は色々な状況・環境の変化があります。太陽や風、対戦相手との相性やプレッシャーなど。そのような変化によって自分のパフォーマンスが出せなくなった時は特に、本来の「ボールと戦う」というところに戻ってプレーするようにしていました。自分が集中するべきなのはボールなのです。

文●伊達公子
撮影協力/株式会社SIXINCH.ジャパン

【PHOTO】「全力を尽くす」ことをテーマに掲げて挑んだ大坂なおみの全豪OP厳選ショット!

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