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愛弟子アルカラスの四大大会初優勝なるか?「答えはイエスだ」と語るフェレーロが挙げた鍵<SMASH>

中村光佑

2022.05.15

地元バルセロナ大会での優勝を喜ぶアルカラス(左)とフェレーロ(右)。マドリード大会も制し、来たる全仏オープンではGS初優勝に挑む。(C)Getty Images

 先週の男子テニスツアー「マドリード・オープン」で大会史上最年少での優勝を飾るとともに、早くも今季4勝目を挙げた19歳のカルロス・アルカラス(スペイン/世界ランク6位)。すでに多くのレジェンドからグランドスラム初優勝にも大きな期待を寄せられているが、本人も「今シーズンのうちに四大大会を制覇したい」と大きな目標を掲げている。

 ここ最近はもはや誰にも止められない勢いを見せているヤングスターをコーチとして見守ってきたのが、元男子世界1位のファン・カルロス・フェレーロ氏だ。2019年からアルカラスを指導する同氏も、このほど応じたスペインのスポーツ専門ポッドキャスト『El Larguero』で「彼はグランドスラムでタイトルを獲得するための全ての要素を備えている」と愛弟子の凄まじい成長ぶりを称賛。

 続けて「四大大会での優勝は実現するのか?と聞かれたら、私の希望としてそれに対する答えは"イエス"だ。彼はそのための準備ができている。彼の明確な目標なんだ。彼自身が(四大大会制覇への)とてつもない欲求と野望を持っている」ともコメントした。

 一方でフェレーロ氏は、5セットの長丁場を戦わなければならないこと、そしてグランドスラムで驚異的な強さを発揮する現世界王者のノバク・ジョコビッチ(セルビア)や同郷のレジェンドであるラファエル・ナダル(4位)といった大きな壁を打ち破らなければならないことを踏まえ、冷静に先を見据えている。
 
「グランドスラムは5セットになるし、そこでラファやジョコビッチと対戦しなければならないから、ずっと高いレベルを保たなければならないんだ。優勝するにはいろいろなことが起こらなければならない」

 そのうえでこれからアルカラスが改善すべき点について「忍耐力だね。時々、彼は良い勝ち方をするけど、精神的に少し混乱することもある。うまくいったり、少し落ち込んだりもするんだ」と明かした。

 なお現在開催中の「イタリア国際」(5月8日~15日/イタリア・ローマ/クレーコート/ATP1000)に出場を予定していたアルカラスだが、マドリード大会で右足首を痛めたことを理由として、大会開幕前に欠場を表明した。フェレーロ氏によればアルカラスの右足首は「大きく腫れ上がり、水ぶくれもかなりひどかった」という。

 間もなく開幕する「全仏オープン」(5月22日~6月5日/フランス・パリ/クレーコート/グランドスラム)に100%のコンディションで臨めるよう、今はしっかりと身体を休めてもらいたいところだ。

文●中村光佑

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