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海外テニス

【プロの観戦眼19】多彩なバリエーションで相手をハメる西岡良仁のバックハンドを見よ!~本村浩二<SMASH>

渡辺隆康(スマッシュ編集部)

2022.05.18

西岡良仁選手のバックハンドは、引き出しの多さが特徴。ジュニアが創造性を学ぶには、格好のお手本だ。右下は本村浩二プロ。写真:Getty Images、滝川敏之

西岡良仁選手のバックハンドは、引き出しの多さが特徴。ジュニアが創造性を学ぶには、格好のお手本だ。右下は本村浩二プロ。写真:Getty Images、滝川敏之

 このシリーズでは、多くのテニスの試合を見ているプロや解説者に、「この選手のここがすごい」という着眼点を教えてもらう。試合観戦をより楽しむためのヒントにしてほしい。

 第19回の解説は本村浩二プロ。彼がぜひ見てほしいと推すのは、西岡良仁選手のバックハンドだ。といっても、ショットの技術的な部分ではなく、そのバリエーションと使い方に注目だという。

「ショットの威力に頼ることなく、いかに格上の相手をハメていくか……それを見るのが面白い」と本村プロ。どういうことかと言うと――。

「ボールの高低差を使ったり、タイミングを変えたり、色んな引き出しがある。それを組み合わせて相手にストレスを感じさせ、気持ち良くプレーさせないのが西岡選手のテニスなんです」

 体格に恵まれないアジアのプレーヤーは、ただ粘っているだけでも、パワーで押すだけでも、勝つのは難しい。「西岡選手はベースにしつこさがあって、そこからの創造性もあるのが強み」だと本村プロは力説する。
 
「日本ではフォームはこうしろとか、型にはめる指導が多い。でも西岡選手は打ち方なんて二の次で、ショットの多彩さ、どう使うかのアイデアで勝負しています。特にジュニアには、ぜひそこを学んでほしい!」

 西岡選手はバックハンドだけでも、様々なボールを打ち分ける。「ヘビースピンに低いフラット、カウンター、アングルスピン、そこからのストレート、スライスも時々入れるし、ドロップショットも打ちます」。ただ強打するだけ、つなぐだけになりがちなジュニアは、彼を参考にすれば視野が広がるに違いない。

「そもそもテニスというのは“体育”ではなく、ゲーム性を持ったスポーツです。想像力を働かせて、楽しい勝負をやってほしいですね」と本村プロ。その最高のお手本が、西岡選手なのである。

◆西岡良仁 Yoshihito Nishioka(ミキハウス)
1995年9月27日三重県生まれ。170cm、64kg、左利き。2011年に盛田正明テニスファンドのサポートでIMGアカデミーに留学。14年にプロ転向すると、ツアーや四大大会で成績を残し、17年に58位をマーク。直後にヒザを故障し戦線離脱するが、復帰後シンセン・オープンでツアー初優勝を果たす。バックハンドとフットワークが武器で、相手に合わせて戦術を考えるのが得意。自己最高位は48位(20年2月24日付)。

取材・文●渡辺隆康(スマッシュ編集部)

【PHOTO】ケガを乗り越え大躍進する西岡良仁の厳選ギャラリー!
 

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