海外テニス

優勝候補の超新星アルカラスが大苦戦。マッチポイントを握られるも「この瞬間を楽しもうと思った」と冷静に逆転勝ち<SMASH>

中村光佑

2022.05.26

ラモス-ビノラスを紙一重の差で下し、感無量の表情を見せるアルカラス。グランドスラム初タイトルに望みをつないだ。(C)Getty Images

 テニスの四大大会「全仏オープン」(5月22日~6月5日/フランス・パリ/クレーコート/グランドスラム)は現地5月25日に男子シングルス2回戦が行なわれ、世界ランク6位で19歳のカルロス・アルカラス(スペイン)が登場。同44位のアルベルト・ラモス-ビノラス(スペイン)を6-1、6-7(7)、5-7、7-6(2)、6-4のフルセットで下し、3回戦へ駒を進めた。

 3月のマイアミと5月のマドリードでのマスターズ2勝を含め、今季だけですでにツアー4勝を挙げているアルカラス。もはや誰にも止められないほどの勢いを見せている19歳の俊才は、今大会初戦でもラッキールーザーのフアン・イグナシオ・ロンデロ(アルゼンチン/141位)に6-4、6-2、6-0のストレートで快勝し、グランドスラム初優勝へ向けて好スタートを切っていた。

 同胞対決となったこの日の2回戦でもアルカラスは得意のフォアハンドを軸に第3ゲームから6ゲームを連取し、わずか30分足らずで第1セットを先取。ところが第2セットに入ってからは強打をうまくかわすラモス-ビノラスに苦戦を強いられ、タイブレークの末にセットオールに。立て続けに第3セットも落とし、第4セットの第10ゲームではマッチポイントを握られてしまう。

 だがここでも攻めの姿勢を崩さなかったアルカラスが起死回生のブレークバックに成功。タイブレークを制すると、迎えたファイナルセットでは驚異的なコートカバーリングを生かして主導権を握り、計3度のブレークを奪って4時間34分の死闘に終止符を打った。
 
 絶体絶命のピンチを切り抜け、大激戦の末に四大大会初優勝への望みをつないだアルカラス。試合後のインタビューでは「第4セットの終盤、マッチポイントを握られた時に、『あと1ポイントで負ける』と思ったことはあったかもしれない。でも、ローランギャロスにいるんだということを考えないようにした。この瞬間を楽しもうと思ったんだ」と語り、冷静でいられたことが勝利につながったと振り返った。

 また対戦した同郷のラモス-ビノラスについては「僕は彼のことを尊敬している。彼のことはよく知ってるんだ」とコメント。そのうえでアルカラスは「素晴らしい試合になることはわかっていたし、タフな試合になることもわかっていた。でも、自分のレベルには満足しているし、最後に彼を打ち負かすことができたんだ」と喜びを表現した。

「まだ僕は若いけど、自分でも経験は豊富な方だと思う」と自信を口にしたアルカラスは、続く3回戦で同世代のセバスチャン・コルダ(アメリカ/21歳/30位)と対戦する。4月のモンテカルロ・マスターズ2回戦ではフルセットでコルダに敗れているだけに、アルカラスとしては何としてもリベンジを果たしたいところ。次戦もどんなパフォーマンスを見せてくれるのか注目だ。

文●中村光佑

【連続写真】将来の王者候補アルカラスの動かされても力強く返球したフォアハンド
 
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【動画】アルカラスが崖っぷちからラモス-ビノラスに逆転勝ちした全仏OP2回戦ハイライト