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海外テニス

男子偏重のナイトセッションに世界女王シフィオンテクが不満「女子テニスにも多くの利点がある」<SMASH>

中村光佑

2022.06.02

シフィオンテク自身は、昼でも夜でも「最高のテニスを見せたい」というが、男子を魅力的とする旨のモーレスモの発言には不満を漏らした。(C)Getty Images

シフィオンテク自身は、昼でも夜でも「最高のテニスを見せたい」というが、男子を魅力的とする旨のモーレスモの発言には不満を漏らした。(C)Getty Images

 いよいよ佳境を迎えているテニス四大大会「全仏オープン」。連日熱戦が繰り広げられるなか、選手やファンの間で話題に上がっているのが、昨年大会から導入された「ナイトセッション(現地時間20時45分開始)」の試合選定だ。

 今大会ですでに実施済みのセンターコート・ナイトセッション10試合のうち、女子でその時間帯に組まれたのはエレナ・オスタペンコ(ラトビア)とアリゼ・コルネ(フランス)の2回戦だけで、残り9試合は全て男子だった。

 これについて今回の全仏から女性初のトーナメントディレクターを務めているアメリー・モーレスモ氏は、記者会見で男女間でのスケジュールの公平性を問われた際、「正直なところ男子のツアーの方が魅力を感じているのを悪いとも不公平とも思っていない」と発言。

 大会主催側でも「女子のドローでどの試合をナイトセッションに入れることができるのか、どの選手がスター性があるのかを考えていた」とはいうものの、「非常に決めるのが難しかった」と語った。

 このモーレスモ氏のコメントに反応したのが、現地6月1日に行なわれた女子シングルス準々決勝でジェシカ・ペグラ(アメリカ/世界ランク11位)を破り、2年ぶりの全仏ベスト4入りを果たした世界女王のイガ・シフィオンテク(ポーランド)だ。
 
 公式戦での連勝記録を33に伸ばした21歳は試合後の記者会見で「どの選手にとっても、普通の時間(日中)にプレーする方がいいとは思うけど…」としつつも、元WTA選手であるにもかかわらず男子ツアーの方が魅力的との旨を述べたモーレスモ氏へ不満を漏らした。

「どの時間帯でも私は楽しませたいし、どの試合でも自分の最高のテニスを見せたい。デイセッションだろうがナイトセッションだろうが関係ない。彼女は女子ツアーにも参加していたから(そのような発言は)少し残念だし、驚いたわ」

 その一方で「全体的に安定感に欠ける選手が多くて予想がつかない」現状が女子テニスの人気を落とし、ナイトセッションに組まれない原因にもつながっていることは認識していると告白。それを踏まえた上で「逆に予測不可能な点がセールスポイントになる」として、「女子テニスにも多くの利点がある」と主張した。

 だが気温の低下と湿度の急上昇が見られるナイトセッションはコートコンディションにも大きな影響を与え、選手たちが本来の実力を発揮することを困難にしているのも事実だ。実際のところ全仏13度の優勝を誇るラファエル・ナダル(スペイン)をはじめ、多くの選手が夜遅くにプレーしなければならないことに不快感を示している。シフィオンテクの言うスケジュールの不公平感を含め、再検討の余地はあるだろう。

文●中村光佑

【PHOTO】2020年の全仏OPでツアー初優勝の偉業!当時19歳のイガ・シフィオンテクのスナップ集
 
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