海外テニス

ジョコやフェレールらが労いの言葉。男子ツアーのジワる選手、チェコのベルディフが引退

スマッシュ編集部

2019.11.18

ツアーファイナルズの引退選手のセレモニー。左端がベルディフ。(C)Getty Images

 ウインブルドン準優勝、チェコのエースとして長年活躍してきたトマシュ・ベルディフが、静かにラケットを置いた。
 
「土曜日にサプライズがある」とSNSで発表していたベルディフが、11月16日(土)、「Nitto ツアーファイナルズ」の試合間に行なわれた引退選手のセレモニーにて、ツアーを退くことを表明し、ファンへの感謝を述べた。

 マックス・ミルニー、ラデク・ステパネク、マルコス・バグダティス……名前が読み上げられ、スーツ姿の選手たちが次々とコートに現れる。テニスファンなら「今年引退した選手だ」と察しがついたであろう。

 そして最後の9人目に呼ばれたのが、ベルディフだった。世界最高4位、2010年のウインブルドンファイナリストでもある彼は、全てのグランドスラムでベスト4に進出したサービスが武器のオールラウンドプレーヤーだ。デビスカップではステパネクとともに、チームを2度の優勝に導いた。

 近年は故障に悩まされることが多く、ここ2年間は特に腰、背中の痛みとともに戦ってきた。試合に出ては休養を繰り返してきたが、34歳で選手生活を終える決心に至った。
 
 セレモニーでは「今後のことは何も考えていない。しばらくゆっくり休みたい」と、それまでのツアー生活がいかに大変なものであったかを思わせた。

 その後SNSにて『Game Set Tennis Career』というコメントと、ウインブルドンの試合終了後、満たされた笑顔を見せる自らの写真を公開すると、多くのファンからは「お疲れさまでした」「これからもあなたは特別な存在です。ありがとう。これからの幸せを祈ります」とねぎらうコメントが相次ぐ。

 そして選手仲間からもコメントが寄せられた。
 
 ノバク・ジョコビッチは、「トマシュ、君の全てを尊敬するよ。長年にわたり、コート、ツアーを共にできたことに感謝している」。フェルナンド・ベルダスコは「テニスはあなたを恋しく思うでしょう。あなたの人生が幸せで、あなたの次の人生のゴールが幸運であることを祈っています!」と書き込んだ。

 同じ年に引退となったスペインのダビド・フェレールは「素晴らしいテニスキャリアでした。新しい人生での幸せを祈ります。あなたと戦うことは私の喜びでした」とツイートするなど、彼の人望がうかがえる。

 2002年から17年間続いたベルディフの選手生活は、ミスなく一つひとつのショットを積み上げていく堅実なテニスに似て、華やかな"引退試合"を行なうことなく、静かに幕を下ろした。決して派手な選手とは言えなかったが、彼のプレーは多くのファンの心に深く刻まれ、残り続けるだろう。

構成●スマッシュ編集部
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