全仏オープンテニスでイリーナ・ベグがベンチに投げたラケットが観客の方に飛んでいき話題になりました。彼女は後で罰金を払いましたが、続行された試合には勝利しました。現在はコードバイオレーションというルールはありますが、もっと厳しくルール化した方がいいのではとの意見も出てきています。
80年や90年代に比べると、ラケットなど道具に当たる選手の行為への見方が厳しくなってきています。報道のされ方、審判の見方、世論も。時代の流れは、厳しいルール化の方向になっていくのではないかと思います。
選手側の立場から言うと、ラケットを投げることがいいとは決して言いません。しかし、試合中にストレスが溜まっているのも事実です。勝ち負けの世界で毎週さまざまなプレッシャーと向き合う日々、真剣だからこそ自分をうまくコントロールできない時も正直あります。そのフラストレーションを吐き出す方法も限られています。
私はストレスの限界が来た時は、折れないように投げて気持ちをリセットしていたこともありました。ベグは本来ラケットを投げるタイプではありませんが、ストレスを吐き出すことで冷静に戻りたかったのでしょう。しかし、その結果が良くありませんでした。
誰もがフェデラーやナダルのように完璧なわけではありません。本来ならば誰もがそうなるべきなのかもしれません。彼らはすごいプレッシャーのなかで戦っていますが、他の選手は彼らとは勝てない回数が違います。
勝ちたいのに自分のプレーはうまくいかない。でもコートでは1人で勝機を見出さなくてはいけない。プレーヤーならば誰もが何かしらのフラストレーションを感じながら戦っていますが、種類の違うものです。
試合中にどんなことが起きてもその状況を受け止められ、いい対処ができればいいのですが、そうもいかないのが人間なのでしょう。プレーヤー自身もラケットを投げることでフラストレーションを減らすのではない対処法をトライしつつ、勝ち負けだけでなくプロを目指す未来の子どもたちが憧れる存在の立ち振る舞いができるプレーヤーを目指してほしいですね。
ルールが厳しくなった場合、選手はどのようにストレスを発散するのでしょうか。大声を出す? どこまで大きな声を出していいのか、言葉によっては警告もあるので難しいですね。
最終的にはストレスを発散させるのではなく、今は心理学者をチームに取り入れている選手も多くなってきているので、試合中のマインドセットをどうすればいのかという指導が進んでいくかもしれません。そういう時代の流れになっている気がします。
文●伊達公子
撮影協力/株式会社SIXINCH.ジャパン
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80年や90年代に比べると、ラケットなど道具に当たる選手の行為への見方が厳しくなってきています。報道のされ方、審判の見方、世論も。時代の流れは、厳しいルール化の方向になっていくのではないかと思います。
選手側の立場から言うと、ラケットを投げることがいいとは決して言いません。しかし、試合中にストレスが溜まっているのも事実です。勝ち負けの世界で毎週さまざまなプレッシャーと向き合う日々、真剣だからこそ自分をうまくコントロールできない時も正直あります。そのフラストレーションを吐き出す方法も限られています。
私はストレスの限界が来た時は、折れないように投げて気持ちをリセットしていたこともありました。ベグは本来ラケットを投げるタイプではありませんが、ストレスを吐き出すことで冷静に戻りたかったのでしょう。しかし、その結果が良くありませんでした。
誰もがフェデラーやナダルのように完璧なわけではありません。本来ならば誰もがそうなるべきなのかもしれません。彼らはすごいプレッシャーのなかで戦っていますが、他の選手は彼らとは勝てない回数が違います。
勝ちたいのに自分のプレーはうまくいかない。でもコートでは1人で勝機を見出さなくてはいけない。プレーヤーならば誰もが何かしらのフラストレーションを感じながら戦っていますが、種類の違うものです。
試合中にどんなことが起きてもその状況を受け止められ、いい対処ができればいいのですが、そうもいかないのが人間なのでしょう。プレーヤー自身もラケットを投げることでフラストレーションを減らすのではない対処法をトライしつつ、勝ち負けだけでなくプロを目指す未来の子どもたちが憧れる存在の立ち振る舞いができるプレーヤーを目指してほしいですね。
ルールが厳しくなった場合、選手はどのようにストレスを発散するのでしょうか。大声を出す? どこまで大きな声を出していいのか、言葉によっては警告もあるので難しいですね。
最終的にはストレスを発散させるのではなく、今は心理学者をチームに取り入れている選手も多くなってきているので、試合中のマインドセットをどうすればいのかという指導が進んでいくかもしれません。そういう時代の流れになっている気がします。
文●伊達公子
撮影協力/株式会社SIXINCH.ジャパン
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