海外テニス

足痛から解放されたナダル、ウインブルドン3回戦進出!「毎日がチャレンジ」とさらなる高みへ<SMASH>

中村光佑

2022.07.01

左足の痛みにより大会前は引退も示唆していたナダルだが、パルス治療がうまくいったことでさらなる目標が見えてきたようだ。(C)Getty Images

 現在開催中のテニス四大大会「ウインブルドン」で、シングルス3回戦へ駒を進めた男子テニス元世界王者のラファエル・ナダル(スペイン/現4位)。

 先の全仏オープンでグランドスラム(四大大会)22度目の優勝を飾った36歳のレジェンドは数週間前、長らく抱えてきた慢性的な左足の痛みを理由に「テニスをすることに幸せを感じられないのであれば他のことをするつもりだ」と、場合によっては現役引退の可能性があることも示唆していた。

 それでも全仏閉幕後に「パルス高周波療法」と呼ばれる左足の新たな治療を経て順調に回復し、無事ウインブルドンへの出場を果たしたナダル。今大会は初戦でフランシスコ・セルンドロ(アルゼンチン/41位)、2回戦でリカルダス・ベランキス(リトアニア/106位)を下し、同大会11度目となる3回戦進出を決めた。

 2回戦後の記者会見では初めに「2週間前は引退に近かった」と話したナダルだが、パルス高周波療法で左足の痛みが軽減した今では「そんな気持ち(引退したいという気持ち)にはならない」という。

 また「この30年間、テニスは僕の人生の中でとても重要な位置を占めていた」としつつも、「引退の日が来ることを恐れてはいない」とコメント。そう考える理由を以下のように説明した。
 
 「僕はテニス以外でもとても幸せな人生を送ることができていると思う。人生ではどんな変化にも適応する時期が必要だ。特に人々の生活の一部となっているような非常に人気のあるスポーツでは、長くトップを走り続けてきた偉大な選手の引退が話題になるのは当たり前のことだ」

「例えば僕はタイガー・ウッズを見るのが大好きだが、今は彼のプレーを見る機会が少なくなってしまった。でもある意味それは僕自身の人生の変化でもある。ロジャー(フェデラー)やノバク(ジョコビッチ)のファンも、彼らがプレーしていないときは、同じように考えるだろう」

 だが一方でナダルは「テニスをやめる日が来たら、(何らかの)変化を実感できることは確かだろうね」と語り、実際に引退を決断する際には複雑な心境を抱きかねないことも認めた。

 そんな中で「毎日がチャレンジで改善のチャンスでもある。完璧ではないことを受け入れて、謙虚に自分のやるべきことを続けていくことが大切だと思う」と更なる高みを目指すことを誓ったナダル。

 次なる3回戦では第27シードのロレンツォ・ソネゴ(イタリア/54位)と対戦する。年間グランドスラム(1年ですべての四大大会を制覇すること)の偉業達成も見え始めているのは事実だが、まずはナダルらしい力強いプレーで1つずつ勝ちを積み重ねていきたいところだ。

文●中村光佑

【PHOTO】ウインブルドン2022で活躍しているナダルら男子選手たちの厳選写真を公開!
NEXT
PAGE
【動画】ナダルらしい力強いテニスを披露したウインブルドン2回戦ハイライト