海外テニス

「彼は常に相手をいじめている」悪童キリオスと世界5位チチパスの3時間越えの試合が大荒れ!「彼はとても軟弱だ」<SMASH>

中村光佑

2022.07.03

怒りを爆発させるキリオス(左)、苛立ちを隠せないチチパス(右)。(C)Getty Images

 テニスの聖地で実現した大会屈指の好カードは何とも後味の悪い形で終わりを告げた。

 現地7月2日に行なわれたテニス四大大会「ウインブルドン」の男子シングルス3回戦で世界40位のニック・キリオス(オーストラリア)と同5位のステファノス・チチパス(ギリシャ)が対戦。両者譲らぬ攻防が繰り広げられた中、キリオスが約3時間にも及ぶ激戦の末に6-7(2)、6-4、6-3、7-6(7)の逆転で勝利。2016年大会以来6年ぶりとなるベスト16入りを決めた。

 だがこの試合では会場が異様な空気に包まれた。第1セットではキリオスが不可解な判定を下した線審に対して暴言を吐いてしまう。その後、再び暴言を受けた線審がその旨を主審に報告。これを受けて主審はキリオスに警告を言い渡した。

 ところが第2セットを落としたチチパスが苛立ちからボールを観客席下方に打ち込んだ行為に対しては警告を与えず、キリオスは「なんでペナルティもないんだ!?」と猛抗議。試合は続行されたが、その後もキリオスは納得のいかない表情を浮かべていた。

 どうやらチチパスもスポーツマンらしくない態度をとるキリオスに腹を立てていたようで、第3セットでは時折チチパスがキリオスの身体をめがけてボールを打ち込む場面も。また第3セットの序盤ではキリオスのアンダーサービスに難なく追いついたにもかかわらず、怒りを発散するようにコート後方にボールを強打した。これを見た主審は危険行為として1度も警告を与えられていないチチパスにポイントペナルティを宣告。第4セットに入ると両者ともにようやく落ち着きを取り戻したが、最後まで冷静にプレーを続けたキリオスがこの日2度目のタイブレークを制して4回戦進出を果たした。
 
 敗れたチチパスは試合後に出席した記者会見で「サーカスのような振る舞いが気に入らない」と前置きした上で、キリオスを次のように痛烈に批判した。

「彼は常に相手をいじめている。彼自身、学生時代はいじめっ子だったのだろう。僕はいじめっ子が嫌いなんだ。他人をおとしめるような人は好きじゃない。彼の性格には良いところもある。でも、彼はとても邪悪な面も持っていて、それが露呈すると、本当に周りの人たちを傷つけたり、悪いことをしてしまったりする」

「あんなことをする選手は他にはいない。あれほどまでにずっと何かに腹を立て、苛立ちを感じている選手は他にいない。常にしゃべって、文句を言い続けて...そして僕はサーブを打とうとしても、そういった振る舞いで試合がうまく進まなくなる。つまりコート上にいるのに一番大事なテニスが行なわれなくなるんだ。僕たちはテニスをするためにコートに立っている。他の人と会話や対話をするためにいるのではない」

 一方のキリオスは自身を「いじめっ子」と称したチチパスに対し、記者会見でこう反論した。

「俺がどのように彼をいじめたのかがよくわからない。審判と少しやり取りしたことを除けば俺は何もしていないし、ステファノスに対して失礼なこともしていない。ここに来て、俺が彼をいじめたと言うだなんて、彼はとても軟弱だ。もし彼が今日の試合で俺の振る舞いによる影響を受けたのなら、それは彼の足かせになっていると思う」

 以前はツアー大会でダブルスを組むほど仲が良かったキリオスとチチパス。この試合をきっかけに、2人の関係に亀裂が生じないことを願いたい。

文●中村光佑

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【動画】ハイレベルなプレーの連続だったキリオス対チチパスのウインブルドン3回戦のハイライト