海外テニス

ジョコビッチを巡る全米オープン入国拒否問題で米上院議員が「大統領は何百万もの不法移民は許すのになぜ?」と批判<SMASH>

中村光佑

2022.07.16

ジョコビッチの入国を認めない米政府の措置を「不公平だ」と批判する声が米国内からも噴出ている。(C)Getty Images

 新型コロナウイルスのワクチン接種を完了していないことから、接種義務が課されている年内最後のグランドスラム「全米オープン」(8月29日~9月11日/アメリカ・ニューヨーク/ハードコート)の欠場が見込まれている元世界王者のノバク・ジョコビッチ(セルビア/現7位)。

 新型コロナの感染拡大防止プロトコルは国や地域によってその内容が異なるが、中でもアメリカはかねてから厳しい措置を講じてきたことで知られている。

 先日その内容に一部変更が加わったものの、アスリートに限らず未接種者の米入国は依然として認められていない。これによりジョコビッチは全米の参戦はおろか、そもそもアメリカに足を踏み入れることさえも許されないのだ。

 ジョコビッチと言えば今年1月のオーストラリア入国騒動で各方面から批判を浴びたことがファンの記憶にも新しい。ところがここ最近は「身体を気遣いたい」としてワクチン接種を拒否し続けるとともに、「ワクチン接種が義務化されるのであれば四大大会にも出場しない」と自身の信念を貫く35歳のレジェンドに同情する声も多数上がっている。

 その一例として、米テキサスの上院議員ドリュー・スプリンガー氏は国内の大きな社会問題として長年取り沙汰されてきた中南米からの「不法入国者」の存在を踏まえ、7月11日に更新した自身の公式ツイッター(@DrewSpringer)で痛烈な皮肉を込めて過剰な感染拡大防止プロトコルを掲げる米政府を批判した。
 

「バイデン(大統領)はノバク・ジョコビッチが全米オープンでプレーするためにアメリカに来ることを禁止しているが、ワクチン未接種である(と思われる)何百万人もの不法入国者が国境を超えてアメリカに押し寄せることは許している。おいジョー(バイデン氏)、ここにもう一人ワクチン未接種者がいるじゃないか!」

 現時点で全米を主催する米国テニス協会(USTA)は「今年度の大会ではワクチン接種が全選手に義務付けられており、特例での接種免除は存在しない」と規定する一方で、米国国籍を持つ選手には未接種の場合であっても出場を許可している。

 だがこれにより本選出場権を得ている地元勢のテニーズ・サンドグレン(193位)は、今年6月中旬に自身のSNSで「ノバクが接種免除できるようにUSTAが動かないなんて情けない話だ。俺が出場できるのに彼が出場できないなんて馬鹿げている」と、大会主催側を強く非難していた。

 先週のテニス四大大会「ウインブルドン」で、大会4連覇を含む7度目の優勝とグランドスラム21度目のタイトル獲得を達成したジョコビッチ。

 ちなみに本人は全米オープンでプレーすることを切望しており、「出場できるようになれば良いと思っている」とのコメントも出している。

文●中村光佑

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