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海外テニス

「リバキナのウインブルドン優勝はロシアテニス界の成功!」発言に本人が「同意できない」と反発!<SMASH>

スマッシュ編集部

2022.07.14

ロシア国内で広がる「リバキナは我が国の産物」とする論調にウインブルドンを制した“カザフスタンの新女王”が苦言を呈した。(C)Getty Images

ロシア国内で広がる「リバキナは我が国の産物」とする論調にウインブルドンを制した“カザフスタンの新女王”が苦言を呈した。(C)Getty Images

 カザフスタンの選手として初めてウインブルドン優勝を果たしたエレナ・リバキナ。だが、彼女がかつてロシア国籍を有していたことや現在も両親がモスクワで暮らしていることを理由に、ロシア国内では現在「栄冠獲得は我が国の成果だ」とする声が飛び交っている。

 幼少のころのリバキナはフィギアスケートの選手を目指していたが、身長が高すぎることから同時進行で取り組んでいたテニスへの鞍替えを決断。だが、思うように国からのサポートを受けられないため、18歳となった2018年にカザフスタンへの国籍変更を決断。以降は新たな国のサポートを受けながら順調に成長を遂げ、昨年は国の代表として東京五輪にも出場している。

 今年のウインブルドンは、ロシアによるウクライナ軍事侵攻に抗議するため、ロシアとベラルーシの選手を除外した上で開催された。もちろん国籍変更から5年目を迎えるリバキナは出場規制の対象外である。

 だが、リバキナがトーナメントの階段を登り切って戴冠を果たすと、ロシア国内ではウインブルドンから除外されたフラストレーションのせいか、彼女の勝利を「ロシアの勝利」とする論調が噴出している。
 
 ロシアの元世界王者エフゲニー・カフェルニコフはSNSを通じて「カザフスタンはすぐ使える『商品』を一流工場から、すなわちロシアから買い取っただけだ」とメイド・イン・ロシアを強調。また、ロシアテニス連盟のシャミル・タルピシェフ会長も「ウインブルドン優勝はロシアテニス界の成功でもある」と国内メディアにコメントを出している。

 だが、カザフスタンに凱旋帰国したリバキナは記者会見で、「私を“ロシアの産物”と表現されることには同意できません。10代の頃、私は彼ら(ロシアテニス界)から見下されていて、カザフスタンに来たことで良いサポートを受けられました。選手としてはとても大事な時期だったと思うので、このことはとてもラッキーでした」と語り、かつての母国で起きている過剰ともいえる反応に表情を曇らせる。

「カザフスタンとともに歩んでこられたことをうれしく思います。カザフスタンのおかげで一緒に歴史を刻むことができました」と感謝の言葉を口にするリバキナ。国から提示された報奨金は辞退し、ウインブルドンで獲得した賞金の一部は「カザフスタンの後輩を助ける」ための支援と「動物保護施設」のためにも使われるという。

構成●スマッシュ編集部

【PHOTO】ウインブルドン2022で活躍した、リバキナら女子選手たちの厳選写真!
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