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海外テニス

【雑草プロの世界転戦記3】試合に出るだけが下部ツアーじゃない! 大会をトレーニングキャンプとして活用する選手も<SMASH>

市川誠一郎

2022.07.27

世界中から選手が集まってくる下部ツアー。特に毎週試合があるチュニジアは選手が長期滞在するため、練習の場としても最高の環境と言える。写真提供:市川誠一郎(左端)

世界中から選手が集まってくる下部ツアー。特に毎週試合があるチュニジアは選手が長期滞在するため、練習の場としても最高の環境と言える。写真提供:市川誠一郎(左端)

 25歳でテニスを始め、32歳でプロになった市川誠一郎選手は、夢を追って海外のITF大会に挑み続ける。雑草プレーヤーが知られざる下部ツアーの実情を綴る転戦記。

  *  *  *

 1年を通じて52週全てでITFツアーが開催されるチュニジア。今回は大会期間中の選手の生活についてお伝えしましょう。

 コートに隣接するホテルに缶詰め状態の選手たちは、試合があれば毎朝早朝に起きて身体をほぐし、練習コートが開放される時間にアップして試合に行き、終わったらクールダウン、ケア…。勝てばその繰り返し、負ければ次の週まで練習の生活です。

 身体のアップ、テニスのアップ、クールダウン、ケア、一つひとつにそれなりの時間はかかります。試合の開始は常に前の試合に左右されるので、コンディションを維持しながら待つ時間も長く、結局試合を1つプレーするだけで1日の大部分を使ってしまうものです。

 本戦から出場する選手は大抵ダブルスも出場できるため、多くの場合は試合続きの毎日になります。一方、予選からの選手はダブルスには出場できないことが多く、練習期間が長くなることが多いですね。
 
 予選を中心に出場する選手のなかには、大会期間中を「多くの選手と練習する場」と捉えているケースもあります。試合に出るだけでなく、レベルアップを図るトレーニングキャンプに近い形で大会を活用するのです。

 私もその1人ですが、他の日本人にもかなり長期滞在する選手はいました。長期滞在には海外に順応するタフさが必要ですが、環境に対応できれば、コートの空いている時間はコート使い放題。世界中の選手が集まり、練習相手もどのアカデミーよりたくさんいるわけですから、格好の条件と言えます。

 なかには数か月にわたって滞在する選手、ほとんど住んでしまっている選手もいます。最近ではコーチが常時ホテルに滞在して、テニス遠征を企画して次々に選手を呼んだりするケースまでありますね。

文●市川誠一郎

〈PROFILE〉
1984年生まれ。開成高、東大を卒業後ゼロからテニスを始め、32歳でプロ活動スタート。36歳からヨーロッパに移り、各地を放浪しながらITFツアーに挑んでいる。Amebaトップブロガー「夢中に生きる」配信中。ケイズハウス/HCA法律事務所所属。

【PHOTO】雑草プロの世界転戦記・チュニジアのITFツアーはこんなところ!
 

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