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海外テニス

37歳のワウリンカが2度の大手術を経てもテニスを続ける理由「まだ全てを達成したわけではない」<SMASH>

レネ・シュタウファー

2022.08.11

2度の手術を経て今年3月に戦線復帰を果たしたワウリンカにとって最大のモチベーションは「自身の限界に挑戦すること」だと言う。(C)Getty Images

2度の手術を経て今年3月に戦線復帰を果たしたワウリンカにとって最大のモチベーションは「自身の限界に挑戦すること」だと言う。(C)Getty Images

「左足に強烈な痛みがある。何をしようにも全くできないんだよ」

 2019年に起きた原因不明の炎症についてスタン・ワウリンカ(スイス)が当時を思い出しながら私に説明してくれた。「とにかく痛くて痛くて…。歩くのもままならなかった」。そのため1年以上にわたり、トーナメントをこの痛覚と共に過ごさざるを得なかった。

 ランキングは20位前後で安定していたが、それ以上アップする気配はなく、ついに2021年初頭、「手術しか解決方法はない」と判断。3月のドーハ大会直後にメスを入れた。だが症状の軽減には繋がらず。わずか3カ月後に再びスイスで手術室に入った。

「ドクターは僕のアキレス腱を切ったり骨を削ったりで本当に大変だった。21年のシーズンは、自分にとって完全に終わったと思ったほどだ」

 ワウリンカの場合は、テニスの古典的なケガというよりかは、サッカーでよく見られるケガだった。そのためサッカーの外傷に強い専門医を探した。

 親交のある「パリ・サンジェルマン(パリSG)」の会長に電話を掛けると、「良い医者を知っている」と教えてくれた。サッカー界のスーパースターを数多く揃えるサッカークラブは、選手のコンディション・ケアにめっぽう強い態勢を整えており、ワウリンカはトップレベルの専門医の下で治療を受けるのが許されたのである。
 
「治療は思っていた以上に長かったが、辛い時期を耐え抜いたのは、主治医の先生のおかげだ」とワウリンカは深い感謝の意を伝えた。数カ月間の治療中、彼は2度とテニスができないのでは…、との不安に駆られた。

「これほどの痛み。手術を受けても治る保証なんてない。だが(どんな結果になろうが)受け入れるしかない。そして忍耐強く待つしかない」と覚悟を決めた。手術直後はギプスを付け、ほとんど動くことができなかった。

 16度の優勝を数えるワウリンカにとってこれは2度目の手術であった。最初は17年の左ヒザの手術で半年間プレーを休み、ランキングが263位まで急下降した。そこでわかったことがあるという。

「執刀したドクターが術後の回復を楽観視していたのは、僕らのスポーツがいかにハードであるかを理解してなかったからだ」
 
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